税制優遇について

 確定拠出年金(DC、401k)とは、老後に向けた資産を作るために国民年金や厚生年金の上乗せ部分として、加入者が月々の掛金を拠出(積立)し、用意された金融商品で運用すると、60歳以降に年金や一時金で受け取ることのできる制度です。いわゆる自分の年金を自分で用意するための制度です。

「企業型」と「個人型」

 確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類あります。

 企業型は基本的には企業が掛金を支払います。したがって、企業がこの制度を導入しないと加入できません。

 個人型は、現況、国民年金に加入している個人事業主やその家族、企業年金制度のない企業の従業員が加入することができ、公務員や主婦は加入できません。ただし2017年1月からは公務員や主婦も加わり、誰でも加入することが可能になっていきます。

退職金と確定拠出年金の違い

 退職金も確定拠出年金も老後に大切な資金です。

 ここでは、掛金、運用、受取額、持ち運び(ポータビリティ)の4つのポイントを挙げてみました。

ポイント 退職金 確定拠出年金
掛け金 会社が支払う (企業型)会社が支払う
(個人型)自分で支払う
運用 会社が決める 自分で選ぶ
受取額 会社規定 運用成果が反映される
持ち運び(ポータビリティ) ほかの会社への退職金制度には持ち運べない 転職・退職した時には積立金を
持ち運べる

 上記のように、確定拠出年金は「自分の老後資金は自分の責任で管理・運用する」という特徴があります。ひとりひとりの専用口座に、会社や個人が負担した金額が入金され、それを個人が運用するという仕組みになっています。運用、資産配分も個人で管理していきます。

 退職金制度では定年退職に会社の決められた金額を受け取ればよかったのですが、企業側にも準備する負担が大きくのしかかってくるため、業績にまで影響すると言われています。

確定拠出年金のメリットとデメリット

 確定拠出年金の種類、退職金との違いがわかったところで、では実際に利用するにあたってメリットに挙げられる税制優遇はどんなものなのか、逆に何がデメリットとなるのか例をふまえていくつかご紹介します。

メリットについて

 確定拠出年金個人型のメリットはいくつかありますが、1つ目には税制優遇です。掛金の全額が所得税と住民税の控除の対象になるということが一番のメリットといえるでしょう。

 掛け金の限度額は、企業に勤務し、厚生年金に加入している方は、月額23000円。自営業の方は毎月68000円までとなっています。

 【例】年収600万円の会社員のAさんが、毎月23,000円を確定拠出年金にした場合

     1年間の掛け金・・・・毎月23,000円×12か月=27.6万円

     27.6万円分の所得税控除を受けることができます。

     Aさんの年収の場合、所得税の税率は20% 住民税は10%ですので

     所得税の節税効果   27.6万円×20%=5.5万円

     住民税の節税効果   27.6万円×10%=2.7万円

 会社員のAさんは、年間8.2万円の税金が優遇されることになります。

 また、自営業者にとっては最高81.6万円の控除を利用でき、所得税や住民税を減らす効果があります。

 2つ目のメリットは運用益が非課税であるということです。

 通常、個人で運用するときは株式や投資信託に20.315%の税金が課税されます。しかし、確定拠出年金での運用中は利子や売却益、配当などの運用益は非課税になります。

 利益が課税されずにそのまま再投資することができるので、複利で運用することができ、その効果は大きくなります。

 他にも、

  • 自分の責任で運用ができる。
  • 年金を一括受取とする場合、退職金所得控除が利用できる。
  • 60歳まで引き出せないので、貯めることができる。

 などのメリットも挙げられます。

デメリットについて

 確定拠出年金のデメリットもいくつかあります。

 1つ目には将来の年金額が確定していないということです。自らが運用することに慣れていないことがデメリットととらえる方も多いと思います。自分の年金を自分で運用するという責任感から来るのかもしれません。

 2つ目のデメリットは管理コストがかかることです。

 運営管理手数料は3か所から徴収されています。

  • 国民年金基金連合会から103円/月
  • 事務委託先金融機関から64円/月
  • 運営管理機関から0〜数百円/月

 金額は小さいですが、長期間の掛け金となるとそれなりの金額になってしまいます。

 デメリットはそのほかにも、60歳になるまで途中引き出しができないこと、運用について自ら勉強しないといけないことなどがあります。

確定拠出年金と税金の優遇について

 確定拠出年金の加入者は60歳をすぎると、老齢給付金を受け取ることができます。

 ただし、加入期間が10年未満の場合には受け取れる年齢が繰り下がります。

通算加入者期間 受け取り可能年齢
10年以上 60歳から
8年以上 10年未満 61歳から
6年以上 8年未満 62歳から
4年以上 6年未満 63歳から
2年以上 4年未満 64歳から
1か月以上 2年未満 65歳から

出典:厚生労働省、確定拠出年金の概要

 では、どのような受け取り方があるのでしょうか?

 受け取り方は①年金、②一括、③年金と一括の併用の3種類から選べることになっています。ご自身のライフプランに合わせた方法で受け取ることができるのはうれしいですね。

年金の受け取り方法について

 では、具体的に受け取り方法を見ていきましょう。

 ①年金として受け取る

  運用を継続しながら5年以上20年以内で年金として受け取ることができます。

 ②一括で受け取る

  60歳から70歳の間に運用していた金融商品を売却して受給することができます。ライフプランに合わせて受給時期を決めるといいでしょう。ただ、売却する際、その時の相場の影響をうけます。徐々に安定した商品に移し替えるなど、受給時期と換金時期を考えながら運用するとよいと思います。

 ③年金と一括の併用

  一時金でも受け取りたいけれど、定期的に振り込まれる年金のほうが使いやすいという方もいると思います。その場合は50:50に加え、一部年金もしくは一部一時金のように細かく分けて併用できる場合もあります。

一時金は税金が優遇される

 確定拠出年金には受け取るときにも、税金の面で優遇されています。年金で受け取るのか、一時金で受け取るのか、選択によって控除される金額は違います。

 年金で受け取る場合

  年金で受け取ると、雑所得としてその年の公的年金と合算して税金の計算をします。超えた部分は課税の対象となります。

 一時金での受け取る場合

  一時金での受け取りは退職所得とみなされますので、「退職金控除」の対象となり、大きな税制優遇があります。

退職金所得控除の計算方法

 20年以下  40万円×勤続年数

 20年超   800万円+70万×(勤続年数−20年)

退職所得として課税される場合

 (退職金−退職所得控除)÷2

 加入期間が30年であれば1500万円までは税金がかかりません。控除しきれなかった金額の1/2に対してのみ課税される仕組みになっています。

運用は慎重に

 徐々に加入者が増えている確定拠出年金制度。加入する際には、税制面での優遇などのメリット部分だけでなく、60歳まで続けて行けるような金額設定をしていくことが大切になります。さらに、運用に伴うリスクをきちんと理解し、さらには中途解約のリスクも把握したうえで慎重に決定していくことが大切です。

NISAも活用

 NISAとは、株式や投資信託などに投資し、そこから得た利益や配当や分配金等が非課税になる制度です。

 毎年120万円の枠が設定され、その枠内で投資した利益等は非課税となります。確定拠出年金制度同様、利益が非課税なので、配当金などを再投資する場合、複利効果もより大きくなります。確定拠出年金は60歳まで途中引出ができませんが、NISAは途中で利益を確保することも可能ですので、旅行資金、教育資金など色々なライフプランに合わせた使い方が可能です。

 それぞれのメリットデメリットを理解して、将来に向けた資金準備の手段として活用しましょう。

NISAについて

(2016年8月15日)

以 上


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