お金以外に聞いておきたいこと―エンディングノートを作成する―

エンディングノートのつくり方や確認しておきたい項目をご紹介します。

 お金のことだけでなく、「家族に迷惑はかけたくない」「お葬式にあの人を呼んでほしい」など、もしもの時のことも聞いておきたいもの。

 病気や葬儀はどうしたいか、ペットや資産はどうするかなど希望を整理し、エンディングノートに記しておきましょう。難しく考えずに作成してみることが大切です。親が作成するだけでなく、親から聞き取り子が記していく方法もあります。

目次

エンディングノートを買ったのですが、書き方が分かりません
一度に書こうとせず、少しずつ書いていきましょう

 エンディングノートとは、ご自身の交友関係や関係する機関の連絡先、資産状況のほか、病気になったときや他界したときに遺族に望むこと、してほしいことなどを書き記しておくものです。「終活」という言葉が身近になってきたこともあり、書店には記入式のエンディングノートがたくさん並んでいます。また、セミナーなどで無料のエンディングノートをもらう機会も増えました。

出所:株式会社ハルメク「終活に関する意識調査」、一般社団法人終活協議会による「エンディングノートに関する意識調査」より作成

 ところが、よく聞かれる悩みは「買ってはみたものの、放置したまま」「いざ書こうと思うと、なかなか書けない」といったものです。意気込んだものの時間がなかったり、しっかり考えて書こうと身構えてしまうことがあるようですが、ポイントは「一度に書こうとせず、書けるところから少しずつ書いていく」ということです。エンディングノートには様々な項目が用意されていますが、必ずしもすべて書く必要はなく大事だと思うところだけ書く、という姿勢で進めていきましょう。また、親世代が自分だけで書くことが難しい場合、親子で話しながら進めていくとスムーズに記入ができることも多いようです。

事例のご紹介

ここからは、親子でエンディングノートの作成を行っている2組の事例をご紹介します。

Aさん

  • Aさんは久々に帰省して母親と買い物をしている途中で、書店に立ち寄りました。
  • 母親が終活コーナーの前で立ち止まり「エンディングノートって知ってる?」「前から気になってるんだけどねぇ…」と小さな声で呟きました。Aさんは、「試しに買ってみようか」と、その場で購入し母親にプレゼントしました。
  • 父親が他界する際に、入院や葬儀のことで苦労したAさんの母親は、エンディングノートに興味があったようですが、1人で書き始めることにはハードルを感じていたようです。
  • 多くの記入項目がありますが、母親が自分で書けるところはゆっくりと時間をかけて書いてもらう」「難しそうな項目はAさんが帰省したタイミングで一緒に考えながら書いてみる」という話をして、作成を進めているようです。

Bさん

  • Bさんは、同居する父親、母親から「自分ではエンディングノートを作れない」「代わりに作成してもらえるとありがたい」と言われ、父の分と母の分のエンディングノートを用意しています。
  • そして、日常の会話や雑談の中で知ったことや気付いたことを書き込んでいます
  • おしゃべり好きな両親なので、本心で言ったのか、気まぐれで言ったのかなどを兄弟姉妹が判断しやすいように、どんなシチュエーションで聞いた話なのかも添えて記入しています。

 市販されているエンディングノートには、内容が豊富なものがあります。自身の生い立ちや思い出、家系図などすべてを記入できれば充実したものになることは確かですが、項目が多いと負担に感じます。

 実際に書き込むのは必要最小限にとどめて、徐々に追加していくようにすると気軽に始めることができます。また、市販のエンディングノートではなく、普段使っているノートに必要なことを記しておくという方法でも十分に効果があります。

 ここまでは親世代がエンディングノートを作成するということを前提にしていますが、高齢の親世代だけではなく、いっしょに子世代もエンディングノートを作り、興味や関心を持っていただきたいと思います。

 若いうちから自分自身の情報や思いを記しておくことで、家族やパートナー、子どもや兄弟姉妹が困らずに済みます。

 次に、エンディングノートに記しておきたい項目をご紹介します。

エンディングノートに必要な項目を教えてください
身近な人が元気なうちに聞いておきたい項目をご紹介します

 常陽銀行では、パソコンやスマホで手軽に大切な情報や意向を整理でき、ご家族と好きなタイミングで共有できるデジタル版エンディングノート、情報承継サービス「あんしんノート」を取り扱っています。セキュリティは万全で、必要に応じて対面でのサポートも受けることができるため、「終活の一歩」として、親世代は勿論、子世代のお客さまからも好評を得ております。エンディングノートや遺言書と比較して、自分にあった最適な方法を検討してみましょう。

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【監修】井戸 美枝(いど みえ)

CFP、社会保険労務士。国民年金基金連合会理事(非常勤)。
経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、数々の雑誌や新聞の連載記事の執筆をはじめ、講演、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題を紹介。
近著に『身近な人が元気なうちに話しておきたいお金のこと介護のこと』(東洋経済新報社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください』(日経BP社)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)など。

井戸 美枝

(2022年5月24日)

本コラムの内容は掲載日現在の情報です。
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以 上

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