地域に咲く、協創ストーリー
STORY
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大地の恵みを次世代へ
藤井商店の事業承継と地域協創

株式会社藤井商店 代表取締役藤井 正氏

茨城県かすみがうら市でさつまいも専門卸売業を営む株式会社藤井商店様は、
創業者である藤井正氏が個人事業主として「移動間屋」を始めたことに端を発し、
平成20年に法人化しました。
大地の恵みが生んだ美味しいさつまいもを全国へ届けることを使命に、
紅あずま・紅はるか・シルクスイートの3品種を取り扱い、
独自のキャリング倉庫を備えて一年中鮮度の高い芋を供給しています。
強固な仕入れルートと豊富な在庫を武器に都内スーパーなど全国に販路を広げ、
年間4,000トン以上ものさつまいもを取り扱っています。
しかし、次世代への円滑な事業承継という課題が目前に迫っていました。

さつまいもの産地に根差す卸売業者として

貴社が向き合う「地域課題」について詳しく教えてください。

藤井氏 : 茨城県はさつまいもの一大産地ですが、生産者の高齢化や作付け面積の減少、気候変動による品質不安定など、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。卸売業者としては、農家と販売先をつなぐだけでなく、農家が安定的に作り続けられる仕組みを整え、消費者へ安全・安心なさつまいもを届け続ける責任があります。加えて、当社は創業者が築いた事業を次世代に引き継ぐ段階にあり、株式承継コスト負担という課題も抱えていました。

その課題の解決に取り組むようになったきっかけ、想いをお聞かせください。

藤井氏 : 私は移動販売から始め、茨城の土で育ったさつまいもを日本中の食卓へ届けたいという想いで30年以上走り続けてきました。法人化後も、鮮度を保つためのキャリング倉庫を整備し、紅あずま・紅はるか・シルクスイートの3品種にこだわるなど品質向上に努めてきました。しかし事業の規模が大きくなるにつれ、自社株評価が上がり、後継者への負担が重くなる現実に直面しました。常陽銀行さんと話し合う中で、このまま先送りすれば打つ手が限られ、事業継続のリスクになることを痛感しました。

キャリング倉庫(外観)

キャリング倉庫と農家支援で安定供給を実現

その「地域課題」解決のため、具体的にどのような取り組みをしていますか?

藤井氏 : 生産者との強固なパートナーシップを築き、農家が安心して作付けできるよう前年度からの価格提示や買い取り保証を実施しています。集荷したさつまいもは専用施設でキャリング処理を行い、一定の温度湿度で管理することで一年中安定した品質を保っています。キャリングは芽吹きを抑えて糖度を上げ、表皮にコルク層を形成するため、病気や傷みに強くなるのが特徴です。この設備投資により、焼き芋用から加工用まで様々な用途に応じた芋を提供し、都内スーパーや加工会社へタイムリーに出荷できる体制を整えました。
一方、事業承継については、常陽銀行さんと繰り返しディスカッションを重ね、各承継スキームのメリット・デメリットを検討しました。後継者の税負担を抑えつつ早期に実行できる方法を選択し、株式承継への道筋をつけています。

キャリング倉庫(内観)

持続可能な農業と地域連携のために

地域課題の解決を加速するためには、企業にはどんな姿勢や戦略が必要だと考えますか?

藤井氏 : 農業における課題は複雑で、単独で解決できるものではありません。卸売業者として、生産者・販売先・消費者の三方良しを実践し、農家の収益向上と食品ロス削減を両立させる仕組みが不可欠です。また、ITを活用した需要予測や品質管理、若手農家の育成支援などにも取り組む必要があります。次世代の経営者が安心してバトンを受け取れる環境づくりも、地域農業の持続可能性に直結します。

常陽銀行との協創がもたらした安心

常陽銀行のサポートについて教えてください。

藤井氏 : 常陽銀行さんは自社株評価の動向や税制のポイントを分かりやすく説明してくれ、早めに対応するほど選択肢が増えることを教えてくれました。加えて、株式承継に関する各種スキームのメリット・デメリットを丁寧に示すなど、当社の事情に寄り添った提案内容でした。株価算定やファイナンス計画の立案も支援いただき、事業承継の不安が大きく軽減しました。

次世代に向けた展望

次の時代に向け、御社が地域のために取り組んでいこうと考えていることを教えてください。

藤井氏 : 後継者とともにキャリング倉庫の設備更新やデジタル化を進め、在庫管理や品質管理の高度化に取り組みたいと考えています。加工会社やベーカリーなど新たな販路開拓にも挑戦し、さつまいもの付加価値をさらに高めたい。加えて、若手農家の育成やさつまいも加工体験イベントなどを通じて、さつまいもの魅力を地域に発信することも計画しています。

最後に、これからの常陽銀行に期待することは何ですか?

藤井氏 : 常陽銀行さんには、地域の農業や食品産業の実情を踏まえた情報提供と支援を続けてほしいと期待しています。金融の枠にとどまらず、補助金や税制の最新情報、他企業とのマッチングなど、地域の未来を見据えた提案をお願いしたい。私たちも「大地の恵みが生んだおいしいさつまいもを皆さまの食卓へお届けする」という想いを次の世代へ引き継ぎ、常陽銀行さんとともに地域の食文化を支えていきたいです。

株式会社藤井商店様は、創業者の熱意と農家との強固な絆を礎に、一年中安定した品質のさつまいもを届ける仕組みを確立しました。事業規模の拡大に伴う課題にも、常陽銀行は、早期に向き合い、次世代への承継に道筋をつけています。常陽銀行と株式会社藤井商店様の「地域農業の未来を支える協創の歩み」は、次世代へ続いていきます。

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