
「つくる」と「暮らす」をつなぐビジョン
貴社が向き合う「地域課題」について詳しく教えてください。
金子氏 : 私たちは棚を直す工具から住宅リフォーム、通学路の安全対策まで、生活の「ほしい」に応えることで地域の暮らしを支えてきました。少子高齢化で担い手が減る中、住まいに関する困りごとや防災の備えなど地域の課題は多様化しています。そこで、卸売業としてお客様同士・仕入先同士をつなぎ、その先で街に笑顔を増やす「SMILE BASE」というビジョンに挑戦しています。
一方、まだやれることがあるとも感じています。大切なのは自治体だけではなく地域の企業も一緒になってアイデアを出し、協力し合うこと。近年そうした話し合いの機会を常陽銀行さんが中心となって設けてくださっていて、非常にありがたく感じています。

その課題の解決に取り組むようになったきっかけ、想いをお聞かせください。
金子氏 : 創業100年を機に社員全員で未来を語り合ったことがきっかけです。建設資材の卸売という枠を超え、食堂やカフェ、放課後の子どもの居場所、防災拠点、住まい相談窓口など、地域に笑顔を届ける基地を妄想しました。それを絵空事で終わらせないために、SMILE BASE事業を立ち上げ、リアルな事業として形にすることにしました。ビジョンを実現するためには、常陽銀行さんのようなパートナーと共に長期的な計画を練ることが不可欠でした。

社員も地域も笑顔にする仕組み
具体的にどのような取り組みをしていますか?
金子氏 : ホームセンター事業部では全国のホームセンター向けに多様な商品を提供し、建設資材事業部では県内外500社以上へ鋼材や資材を供給しています。納品した商品が道路や住宅として形に残る喜びは大きく、社員のやりがいにもつながります。また、ユニークな福利厚生や働き方も当社の特徴です。「遊べ!社会人」制度でレジャー施設を会員価格で利用できたり、社長主催のBBQや退職金1,000万円チャレンジ、ボルダリングウォール、3時のおやつ制度など、仕事も遊びも全力で楽しめる環境を整えています。新たなSMILE BASE事業では、規格外野菜を活用した食堂や高校生とコラボしたスイーツ開発、ドローンを使った防災訓練など、社員のアイデアが次々と形になっています。
常陽銀行のサポートはどのようなものですか?
金子氏 : 中期経営計画を策定する際、常陽銀行さんは資金提案にとどまらず、現状分析や施策検討のフレームワーク、計数計画づくりをサポートしてくれました。社員の声を反映させながら「SMILE BASE」というビジョンを事業計画に落とし込み、実行段階でも進捗確認や改善提案をしてくれています。具体的には、 IT デジタル化に向けた業務改善のコンサルティングや外部専門家の紹介、地域の最新情報の共有などの支援など、銀行との付き合い方が融資だけではないことを実感しました。

好きなことを実現できる会社へ
金子金物で働く魅力はどこにありますか?
金子氏 : 当社は転勤がなく地元志向で、茨城で全国規模の仕事ができるのが魅力です。社員一人ひとりの自由度が高く、営業職でも「これをやりたい」と提案すれば基本的に任せる文化があります。失敗も称賛すべきナイストライとして受け止め、メンター制度やOJTで成長を支援します。多様なキャラクターを持つ社員が自然にコミュニケーションを取り合い、年2回の全体会議では自由な意見交換が行われます。求める人材像は固定していませんが、自分の言動に責任とプライドを持ち、問題意識を持って行動できる人、明るくフットワークの軽い人を歓迎しています。

次の100年へ向けたビジョン
次の時代に向け、貴社が地域のために取り組んでいこうと考えていることを教えてください。
金子氏 : 次の100年に向けて、ミッション・ビジョン・バリューを体現する事業を更に進化させたいと考えています。具体的には、デジタルツールを活用した需要予測や在庫管理の高度化、DXを見据えた物流網の整備、災害時にも切れ目なく供給できる倉庫機能の強化、環境負荷の低い建材の取り扱い拡大などを検討しています。また、100周年フェスやスポーツ支援で生まれた地域とのつながりを活かし、学校や自治体と連携したものづくり体験教室、シニア向けリフォーム相談会など、暮らしを支えるサービスにも挑戦したいと思います。

地域の旗振り役への期待
最後に、これからの常陽銀行に期待することは何ですか?
金子氏 : 常陽銀行さんには、地域の旗振り役として企業同士の協力の場を創出し、リアルな地域ニーズや課題を共有してほしいと思っています。金融機関のネットワークと視点で、当社だけでは気づけないチャンスやリスクを教えていただければ心強いです。共に歩むことで、「SMILE BASE」として地域の笑顔をもっと広げていきたいと考えています。
創業時から受け継ぐ「目の前の人に喜んでいただきたい」という想いは、100年を経ても色褪せません。常陽銀行は、金子金物株式会社様とともに次の100年の道筋を描きながら、建設資材卸売業の枠を超えて地域社会の未来づくりに挑んでいきます。
