
地域課題と向き合う金属加工企業として
御社が向き合う「地域課題」について詳しく教えてください。
永友氏 : 私たちは埼玉県で金属加工業を営んできましたが、近年は都市部への企業集中や工業用地不足、技能者の高齢化が進み、中小製造業が新しい投資を行う環境が制約されています。そこで、製造業が集積する一大工業地域に隣接した茨城県常陸太田市への進出を決め、地域雇用を創出しながら新工場を地域のランドマークにする計画です。新工場敷地をランドスケープとして一般に開放し、アーバンスポーツや散策を楽しめる憩いの場にすることで、ものづくり企業が地域のまちづくりに貢献できると考えています。

御社がその「地域課題」の解決に取り組むようになったきっかけ、想いをお聞かせください。
永友氏 : 創業者は「職人として誇りを持ち、技術を追求し、付加価値の高い製品を作り続ける」という信念を持って会社を興しました。私たちもその志を受け継ぎ、ステンレスアート共栄のファンを増やすことを使命としています。工場が手狭になり、受注増に対応できなくなったことから、新工場建設を決断しました。これは設備増強だけでなく、地域社会と共生しながら持続的に成長するための大きな一歩です。

技と設備、そして人を融合する新工場
その「地域課題」解決のため、具体的にどのような取り組みをしていますか?
永友氏 : 私たちは創業以来継承してきた研磨技術と熟練の溶接技術を活かし、航空宇宙産業向けの品質マネジメント(JISQ9100)を取得した製造管理力に基づき、高品質な製品を安定して製造し続けています。食品や医療機器向けのサニタリー品から航空機の内装、建物内装品まで、設計から板金・機械加工・組立までワンストップで対応できる体制を整えています。新工場では「Man×Machine×Factory」の融合をテーマに、高性能な機械設備が自動作業を担う一方、職人が付加価値の高い作業に集中することでトータルリードタイムを短縮します。また、新工場は敷地内をランドスケープとし、BMXやスケートボードなどのアーバンスポーツを楽しめるエリアや市民が散策できるスペースを設ける予定で、地域住民に開かれた工場として持続可能なまちづくりに貢献します。

ものづくり企業が示す成長モデル
地域課題の解決を加速するためには、企業にはどんな姿勢や戦略が必要だと考えますか?
永友氏 : 職人技と最新設備のバランスが重要だと考えています。単に量産するだけでなく、美観と機能性を兼ね備えた製品を提案し、顧客の設計段階から製造性を考慮することで価値を生み出してきました。これからは、人手不足が進むなかで従業員がやりがいを持って働ける環境を整えつつ、デジタル技術を活用してリードタイムを短縮することが求められます。また、工場を地域に開放してコミュニティの活力を生む取り組みも、企業の社会的責任として大切だと考えています。

常陽銀行の伴走支援
常陽銀行のサポートについて教えてください。
永友氏 : 常陽銀行さんには、茨城県との連携による工場用地の紹介をはじめ、外部環境・内部環境の現状分析や事業計画策定を支援していただきました。新工場建設に向けて投資効果の検証や計画数値の策定を行う際には、財務的な視点だけでなく、地域経済への影響や公的支援制度の活用など幅広い助言をいただきました。竣工までの間もモニタリングや資金面でのサポートを継続してくださっており、非常に心強い存在です。

次の時代を見据えたビジョン
次の時代に向け、御社が地域のために取り組んでいこうと考えていることを教えてください。
永友氏 : 2026年に竣工する新工場を拠点に、生産能力を拡大しつつ航空宇宙や半導体など高付加価値分野への進出を加速します。また、若手技術者の育成やデジタル化推進により、匠の技と最新技術の融合を図ります。新工場のランドスケープではアーバンスポーツや散策を楽しめる施設を整備し、市民が集う場所として地域の賑わいを創出したいと考えています。

最後に、これからの常陽銀行に期待することは何ですか?
永友氏 : 常陽銀行さんには、新工場完成後も事業拡大や地域貢献に伴走していただきたいです。特に、資金調達や公的支援制度の紹介だけでなく、県内企業との連携や都市圏とのビジネスマッチングなど新しいチャンスを共に創出していければと思っています。私たちは「職人として誇りを持ち、技術を追求する」姿勢を貫きながら、ステンレスアート共栄のファンを増やし、地域と共に持続的に成長していきたいと考えています。
有限会社ステンレスアート共栄様は、独創的な研磨技術と溶接技術を武器に多様な金属製品を生み出し続けながら、新工場建設を通じて地域との共生を図り、次代のものづくりモデルを示そうとしています。持続的成長と地域活性化に向けて、技術、設備、人を融合させ、地域に開かれた工場を実現する同社の挑戦を、常陽銀行は引き続きご支援していきます。
