
自社のチャレンジこそ地域貢献
店舗で地元・福島産の食材を活用するなど、地域貢献活動を熱心に取り組まれていますが、ここにはどのような想いがあるのでしょうか?
大髙氏 : 当社は店舗運営の基盤となるセントラルキッチンを郡山に構えるなど、商売そのものを拠点とする福島の方々に支えられています。そのため、何かしら自分たちが持つリソース、得意なことで地域に恩返しをしたいという想いがあります。
もともと地元野菜やお米の活用は、お客さまに鮮度の良いものをご提供したいという想いがあって行っているものですが、福島は良いものを生産しているのに外部へのアピールが苦手な部分があるので、店舗で活用することで福島産食材の販路拡大にもつながるのではないかと考えています。
地域貢献活動としては、他にも、子ども食堂への支援、地元高校の部活動への食事券の寄贈、店舗で販売するお弁当のパンフレットの絵柄を、障がいを持つ作家さんとコラボレーションするといった取り組みも続けています。
現在、福島は少子高齢化が進んでおり、大きな地域課題と捉えています。私たちは生産拠点を福島に置きながらも、店舗をさらに首都圏などへ広げることを目指しています。そうすることで地元の雇用創出に寄与できますし、このように自分たちがチャレンジすることが地域への貢献になるのではないかと考えています。

想いと成長を加速させる「100億宣言」
現在、「2031年までに100店舗・年商100億円」という目標を掲げていらっしゃいます。
ここに至った背景について教えてください。
大髙氏 : 100店舗という目標を掲げた理由は大きく2つあります。1つは、私たちの提供する食を通じて、喜んでいただけるお客さまを増やしたいということ。
そして2つ目は、従業員の待遇向上です。100店舗規模になると、生産や物流の効率が高まります。そうした経済合理性によって生まれた利益を、給与や待遇の改善に還元していきたいと考えています。

現在、福島、宮城、栃木に店舗を構えていますが、今後は1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)を含め幅広い展開を目指しています。当社事業の主軸となるラーメンと定食の2業態は基本的に競合しないので、エリアの特性に合ったブランド展開を行いながら実現したいと考えています。


目標の達成に向け、中小企業庁による「100億宣言」も行われましたね。
大髙氏 : 100店舗を実現するための鍵となるのが、新たなセントラルキッチンの建設です。既存施設では45店舗程度までの供給能力しかなく、さらに多くの店舗運営を可能にするためには、より大規模な機能をまかなえる施設が不可欠でした。
そこで建設に向けて最大5億円の補助を受けられる「中小企業成長加速化補助金」の活用を目指そうと考え、その採択条件であった「100億宣言」を行いました。宣言を行うことで、自社としても年商100億円を実現するための道筋を改めて整理し、戦略を明確化できたと考えています。

「100億宣言」に注目する中小企業の経営者は多くいらっしゃると思いますが、相当な覚悟があったのではないでしょうか
大髙氏 : 宣言をすること自体に覚悟みたいなものはありませんでした。もちろん補助金が採択されて計画が達成できなければ返還などの金銭的なリスクはありますが、宣言自体が達成できなかったとしても、少し後ろ指をさされるくらいのことですからね。
私自身は、経営も含め人生におけるリスクって、じつはそれほど多くないと考えています。世の中でリスクと呼ばれるものを細分化していくと、多くの場合「失敗したらどう思われるか」「うまくいかなかったら恥ずかしい」といった心の問題だったりします。
私が本当に大きいと考えるのは「挑戦しないリスク」です。挑戦すれば、そこで得られる経験や知見、人とのつながりは必ず残ります。だからこそ目指す姿に向かって、一歩踏み出していくことが大切だと考えています。

ビジョンを具体化した銀行の視点
現在、常陽銀行はイズムフーズ様が掲げる目標達成に向け、幅広いサポートをさせていただいています。とくに印象に残っている支援があればお聞かせください。
大髙氏 : 新しいセントラルキッチンの建設にあたっては、多額の資金の借り入れが必要であり、補助金の申請・手続きも含め、トータルな計画を立てる必要がありました。私自身の中では大まかなビジョンがあったものの、具体的な資金計画が見えていたわけではありませんでした。

そこに、常陽銀行さんは複数の金融機関からの借り入れの取りまとめ役となってくださっただけでなく、補助金の申請やスケジュール設計も含め、スピード感を持って全体像を整理してくださったので、非常に助かりました。
とくに「中小企業成長加速化補助金」の申請では、プレゼンテーション審査もありました。審査では、企業の代表、支援する金融機関が、それぞれ事業計画の実現可能性やリスクへの対応など、さまざまな角度から質問を受けます。
そうした中で、常陽銀行さんは支店長自らプレゼンテーション審査に出席し、ご対応くださいました。私たちの事業や考え方をしっかり理解した上でサポートしていただけたことは非常にありがたかったです。まさに銀行全体として支援していただいているという心強さがありました。
見据えるのは「100億」のさらに先
今後の展望について教えてください
大髙氏 : 100店舗・年商100億円の実現に向けては、国内の出店拡大を中心に進めていきます。当社の特徴として、業態を増やすのではなく、既存ブランドをエリアを変えながら展開し、出店を拡大していくという展開の方針があります。つまりお客さまに支持していただける「ヒットフォーマット」を磨き上げ、その再現性を高めながら展開していくことが成長の基本戦略です。過去の出店データや知見を基に、店舗経営の再現性をより高めていくことを目指していきます。

今後の出店を支えていくのが、まさに2027年に稼働予定の新たなセントラルキッチンです。150店舗程度まで対応できる規模を想定しており、生産量を増やしながら機械化も進めることで、生産性向上やコスト削減を図ります。これまで外部で行っていた工程の一部も内製化し、品質やコストをさらにコントロールできる体制を実現予定です。
中長期的な成長を見据えて力を入れているのは、海外展開です。現在はインドネシアでの出店準備を進めており、まずは現地で繁盛店をつくることが第一歩だと考えています。日本品質のラーメンの価値を提供しながら、現地の嗜好や文化にも合わせていく。そうしたモデルを確立した際には、将来的に他国への展開も視野に入れていきたいと思っています。

最後に、常陽銀行に期待することを教えてください。
大髙氏 : 資金面での支援はもちろんですが、それ以上に期待しているのは「情報・知見」面での支援です。私たちは飲食業界という限られた領域で仕事をしていますが、常陽銀行さんは日本を代表する銀行として多くの企業や行政と接点があり、私たちには知り得ない情報や事例もたくさん持っていらっしゃいます。そうした様々な企業が成長する過程・フェーズ(売り上げ50億円、従業員300名等)で突き当たった壁や成功事例・失敗事例をもとに水先案内人になってもらいたいですね。これから先、年商100億円の達成、そしてその先の成長を目指すなかで、共に実現へ向かうパートナーでいていただければありがたいです。
