


「働く人」を元気に。
それが、地域の未来を元気にする。

地域の企業が抱える「人手不足」という課題に、銀行の立場からできることは何だろう? そんな問いから生まれたのが、福利厚生サービス「ベネサポ」です。使いやすさを追求してアプリ化に挑んだのは、多彩なバックグラウンドを持つ4人のメンバー。試行錯誤を重ねながら形にした、開発の舞台裏をご紹介します。

高橋 真興 営業企画部 戦略企画グループ 新規事業開発チーム 2007年入行 経済学部卒

八島 佳祐 営業企画部 戦略企画グループ 新規事業開発チーム 2008年入行 経済学部卒

佐々木 一成 営業企画部 戦略企画グループ 新規事業開発チーム 2008年入行 経済学部卒

木村 凌 営業企画部 戦略企画グループ 新規事業開発チーム 2019年入行 マネジメント創造学部卒
※所属部署はインタビュー当時のものです
プロジェクトの背景
プロジェクトの目的とゴールを教えてください。

高橋
常陽銀行では、マテリアリティ(重要課題)の1つに「地域産業の成長支援」を掲げており、人口減少に伴う慢性的な人手不足への対策支援に取り組んでいます。そこで私たち新規事業開発チームが立ち上げたのが、企業で働く従業員に向けた福利厚生サービス「ベネサポ」です。これは、導入企業から月額料金をいただき、その企業に勤める従業員に対して専用アプリを通じてさまざまなサービスや特典を利用いただく、というサブスク型のサービスです。地域で使えるクーポンや健康・生活サポートのほか、安心して暮らし続けるための金融サポートなど、およそ20万以上のコンテンツから好きなものを利用できます。
八島
ベネサポを導入いただくことで企業に対する従業員の満足度を高め、人材の定着や採用に貢献し、ひいては企業の業績向上・地域経済の活性化につなげることがこのサービスの狙いです。2021年4月にローンチされた初期バージョンはWebサービスとして提供していましたが、ユーザビリティに課題があったため、より便利に使っていただくために2023年8月からアプリ化を本格検討し始め、私と木村さんはこのタイミングでチームに参加しました。
佐々木
その後、2024年4月にアプリ化の開発が始まったタイミングで、私はトレーニーの公募に手を挙げてチームに参加しました。それまでは支店の営業として本部が企画したさまざまな商品の提案に取り組んできましたが、40歳を目前に控え、新しいことに挑戦したいと考えてトレーニーに立候補。ベネサポのプロジェクトに関わることが決まったときは、正直なところ分からないことだらけで戸惑いましたね。けれど、支店と本部の文化の違いにも触れながら、新たな環境で一から学ぶ日々はとても新鮮で刺激的でした。
木村
私は入行から4年ほど支店で法人営業を中心に経験した後に、新規事業開発チームに加わりました。メンバーは私と10歳以上離れたベテランの先輩ばかりということで、初めは緊張しました。それに、支店時代はお客さまの担当として「個」の力で勝負する部分もありましたが、ここではチームで役割を分担してゴールを目指していきます。このように業務の進め方も異なるなかで、ITの知見も含めてたくさんのことを吸収する毎日が始まりました。
高橋
アプリ化する以前のベネサポは、コンテンツごとに再ログインが必要で、クーポンの検索性が低いなど、ユーザーや支店の担当者から「使いにくい」といった声が届いていました。こうした課題を解決する手段として以前にもアプリ化を検討したのですが、コストや人的リソースの問題から一度は断念した経緯があります。しかし、支店の営業担当者の努力のおかげで導入企業が増えたことと、3人がチームに加わってくれたように人員増強のタイミングが重なったことで、私も「再挑戦するなら今だ」と考えてアプリ化に向けた行内稟議に臨みました。「ベネサポ」を事業として成長させるためにアプリ化は避けて通れない投資であり、その先には、地域の企業と地域そのものの活性化というゴールが近づく。「投資効果」と「投資回収」の組立を明確にし、ユーザーの利便性向上が事業の成長にどう繋がるかを可視化したところからプロジェクトはスタートしました。
プロジェクトの体制
プロジェクトはどのような体制・役割分担で進めましたか?

八島
プロジェクトリーダーとしてシステム全体に関する意思決定や、リリースまでのマイルストーンの管理を担ったのが高橋さん。私はサービス開発の責任者であるプロダクトリーダーとして、既存のWebベンダーやアプリベンダーの窓口を務めながら開発の目的や具体的な仕様を決める要件定義と、営業的側面から支店やお客さまへの情報発信などを主に担当しました。
木村
私は運用担当として、運用フローの整備、サービス改善に向けた現場の声の収集、ユーザーからの問い合わせ対応などを担いました。特に今回のアプリ化に伴うシステム改修では、ID体系の見直しが重要なポイントの1つでした。ベネサポ内の各コンテンツごとに存在していたIDを統一させ、1ユーザーにつき1つのIDですべてのコンテンツを利用できるシングルサインオンを実現し、ユーザーにとって便利でシームレスな環境をつくる必要があったからです。開発段階ではそのための情報整理が私の重要なミッションとなりました。
佐々木
私は利用規約の作成・改訂をメインで担当しました。まずは世の中にある同様のサービスやアプリの利用規約を徹底的に調査・比較。どのような項目や表現が一般的なのかを情報収集することから始めました。その過程で、サービスごとに規約の内容や重点が異なること、法令遵守やユーザー保護の観点が重要であることなど、多くの課題が見えてきました。部署内でも相談し、情報を整理しながら、規約の構成や項目を検討しました。利用規約を作成するのは初めてでしたが、大学時代に必修科目として学んだ法律の基礎知識が役立ちました。
高橋
私以外のメンバーはシステム開発業務を初めて経験するので、スキル的にはハードルが高かったと思います。それでも挑戦することが成長につながると考えているので、彼らの主体性を引き出して任せるようにしました。相談を受けた時にも、すぐに答えを教えるのではなく「あなたはどうしたい?」とまずは自分なりの考え・スタンスを持つことを求めるようにしていて。常陽銀行に昔からある面倒見の良いカルチャーとは少し異なる雰囲気を意識的につくっていました(笑)。
木村
そうですね。チーム内最年少で経験値が少ない私にとっては、しんどいときもありました(笑)。でもそのおかげで、自分自身で考えて動くことを以前にも増して大切にできるようになりましたし、自己成長につながったと感じています。
プロジェクトの難所
プロジェクトを進めるなかでは、どのようなハードルがありましたか?

佐々木
「まだ形になっていないサービス」の利用規約をつくることに苦労しました。具体的な仕様や運用方法が決まっていないなか、さらには運用するなかで変わっていく可能性も見越した上で、サービスの将来像に対応する規約をつくるのは想像以上に難しかったです。規約はサービス運営において非常に重要な役割を担うため、トラブルや誤解が生じないよう、慎重かつ丁寧に業務を進めました。法律やコンプライアンスにも関わるので顧問弁護士などの専門家に協力してもらいながら形にしていきました。
八島
私はやはり、ITやシステムの専門知識がないなかで関係者と調整を進めていく部分に苦労しましたね。ベンダーや社内のシステム部門との会話のなかで、はじめは登場したワードの意味さえよくわからないこともありました。複数のベンダー同士を橋渡しする役割ではありましたが、「意図を正確に伝えられているか?」という不安は常にありましたね。そこで、わからないことは調べたり質問したりして、打ち合わせ前に資料を読み込んでおくなど、事前準備を徹底しました。それでも乗り越えられないことは、最終手段として高橋さんに相談していました。
高橋
さきほども触れたとおり、私はメンバーの成長を促すため過保護にしないようにしていたので、最終手段的な存在だったのかもしれません(笑)。今回のプロジェクトではアプリ化の開発と並行して、その後のプロモーション戦略についても練る必要がありましたが、そこはメンバーに頑張ってもらった部分でもあります。八島さんが中心になって支店やお客さまへの情報発信の方針を検討したり、佐々木さんをメインにアプリのダウンロードキャンペーンを企画したり。この部分も経験値がないなかでチャレンジングだったと思います。
木村
私はID体系の見直しが何よりも大変でした。「IDを統一する」と一言で言っても、コンテンツごとに必要な情報が異なるなかでは、単純に1つにしてしまうことはできません。そこで、コンテンツ提供元ごとに必要な情報を整理し、最大公約数のような情報を導き出すことで、現実的に対応可能な範囲での運用フローとID設計を実現しました。
プロジェクトの成果とやりがい
プロジェクトを通じて感じたやりがいや達成感について教えてください。

八島
開発着手から4ヶ月後の2024年8月には無事にアプリをリリースできました。苦労した分、大きな達成感と「みんなでやり切った!」という感動がありましたね。リリース後はサービス説明のために営業行員と同行して企業へ訪問する機会もあったのですが、「いいサービスだね」といった声をいただくことができて、とてもうれしく思っています。
佐々木
自分の思いや考えを規約として形にできて、サービスの一部に反映されたことに大きな達成感と喜びを感じました。長らく常陽銀行で働いてきたなかでも「つくる」仕事は初めて経験しましたが、自分たちの努力が形となり、チームにも貢献できたことに自信を持つことができました。トレーニーという立場から始まりましたが、たくさんの責任ある業務にチャレンジできたことが私自身のキャリアの大きな転機にもなりました。
木村
リリース時は達成感だけでなく「本当に大丈夫かな」という不安も少し感じていたのですが、良い結果になりホッとしました。営業のみなさんからは「IDが1つになって使いやすくなった」「アプリになってからはお客さまに推進しやすくなった」といった声が届いていて、頑張ってよかったと心から感じました。
高橋
「ベネサポ」をきっかけに導入企業内での従業員同士のコミュニケーションが増えたという嬉しい声も聞くことができました。また、プロジェクトを通じてメンバーの成長を実感できて、マネージャーとしてのやりがいも感じています。
八島
「ベネサポ」は利便性が向上したことで導入企業数が順調に増えており、同時に解約率も縮小。従業員の利用率も以前に比べて20%ほど向上し、アプリ化の成果を実感しています。今後はユーザー向け・導入企業向けのアンケートなどを実施して、さらなる満足度アップを図ろうとしているところです。
プロジェクトの社会的価値
このプロジェクトは地域に対してどのような社会的価値を提供しましたか?

佐々木
「ベネサポ」は福利厚生を通じて地域を元気にするという大きな社会的意義を持ったサービスです。従業員が豊かに暮らせる環境づくりをサポートすることで企業の業績向上につながり、企業はさらに従業員を大切にできる。この循環が地域社会の活性化につながると考えています。
八島
ほかの事業者ではなく、私たち常陽銀行がこのサービスを提供することにも大きな意味があります。それは、サービスから得る利益だけを重視するのではなく、地域の企業と長くお付き合いを続けたいという常陽銀行の想いがあるから、企業や従業員にとってメリットの大きいサービスを実現できるという部分です。私たちのほかにも福利厚生サービスを提供する事業者は存在しますが、「地域を支える」という視点は常陽銀行ならではのものだと感じます。こうしてサービスを提供するなかで、資金ニーズに対応する銀行としての本業にも結びついていくはずです。
高橋
「ベネサポ」の運営には、地域の事業者のみなさまにもコンテンツの提供側として参画いただいています。例えば、地元で使えるクーポンを提供いただいたり、地元のプロスポーツチームの応援など、一緒にコンテンツづくりに参画いただくなかで、地域にお金や情報が循環していく仕組みになっています。また、自治体と連携協定を結び、「ベネサポ」を通じて地域の魅力を発信する取り組みも始まりました。そのなかでは支店の若手メンバーがアイデアを出してくれるなど、チームを超えて協力できていることにもやりがいを感じています。
八島
自治体との連携はこれからもさまざまな地域へと広げていければと考えています。また、アプリ化に伴ってさまざまなデータを蓄積できるようになったので、今後はそのデータ活用にも挑戦したいです。目指すのは、ユーザーの特性やライフステージなどに合わせて、パーソナルな提案ができる仕組みづくり。そこには銀行ならではの強みを活かした金融サービスなどを盛り込み、ユーザーの生活と人生をサポートできたらと考えています。
木村
私はこのプロジェクトを通じて身についたITの知見を活かして、今後のキャリアでも新しいことに挑戦できればと考えています。金融とITとの関係は今後もますます深くなると思うので、この2軸で学べた経験は将来のキャリアにおいて大きな財産になるのではないでしょうか。従来の銀行業務にとらわれず、地域のお客さまや企業の多様なニーズに応えられる「総合サービスプロバイダー」へと進化しようとしている常陽銀行なら、幅広いキャリアを描ける可能性を感じています。
佐々木
まさにその通り。私も30代最後に新たな業務にチャレンジしましたが、転職したかのようにガラリと環境が変わり、そのなかで非常にたくさんのことを吸収できました。新規事業開発のチャンスもまだまだあるでしょう。常陽銀行でできること、そして、常陽銀行が地域社会のなかで果たせる役割は、想像以上に幅広いと実感することができました。



「ベネサポ」開発の裏側をお伝えしました。
常陽銀行では、金融という従来のサービスにとどまらず、
さまざまな形での取り組みを行っています。
あなたならどんなことにチャレンジしますか?


