NISAで買う外国株は投信?個別株?新制度の内容を押えて投資方法を考えよう

NISAで買う外国株は投信?個別株?

 NISAで外国株に投資する際、投信(投資信託)と個別株のどちらを選ぶべきか、多くの人が悩む点の1つです。投信と個別株はリスクやリターンも異なるため、正しく理解してから購入することが大切です。また2024年以降のNISA制度では、運用期間の無期限化や投資枠の拡大などが改善されており、外国株を購入するのにも適しています。

 本記事では、NISAを活用して外国株に投資するメリットとデメリットや、各種銘柄の違いなどを詳しく解説します。

個別株投資と投信の違い

 個別株投資は自分で好きな企業を選び、その株式に投資するもので、銘柄によって最低購入金額が異なります。一方投信(投資信託)は、たくさんの投資家から少しずつ資金を集め、大きな金額にしてプロが運用します。個別株とは違い、複数の銘柄に分散投資することが特徴です。NISAで外国株に投資する際、投信と個別株の違いを理解しておくことでどちらで運用すれば良いかが明確になります。個別株投資と投信の違いは、以下のとおりです。

個別株投資
(外国株)
投信
運用方法 自分で銘柄を選択し運用する プロに運用してもらう
リスクとリターン 比較的高い 比較的低い
手数料
  • 売買手数料
  • 購入手数料
  • 信託報酬
  • 信託財産留保額 など
配当金など 配当金あり 分配金あり
投資額 1万円程度~ 100円~
(金融機関によって異なる)
NISAの活用 成長投資枠 つみたて投資枠・成長投資枠

 投資額は個別株で1万円から、投信では100円から可能です(金融機関によって異なります)。また、NISAでは個別株での運用を希望する場合には成長投資枠を、投信での運用を希望する場合にはつみたて投資枠、成長投資枠の両方を活用できます。

 このように個別株投資と投信には、さまざまな違いがあるため、あらかじめ理解しておくことが大切です。次項では、個別株投資と投信のメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

個別株投資のメリットとデメリット

 個別銘柄投資のメリットの1つとして挙げられるのは、個人が注目している企業に直接投資できる点です。投資家はその企業の独自の技術や製品に基づいて投資でき、好きなタイミングで売買できるので、大きなリターンを狙うことが可能になります。また、運用手数料などがかからないため運用コストがかかりません。

 一方、個別銘柄投資には比較的多額の資金が必要となる点がデメリットです。ただし株式の売買単位が100株単位の銘柄が多い日本株と比較すると、米国株は1株単位から購入が可能なため、1万円程度から購入できます。しかし100円から始められる投信と比較した場合にはそれなりの資金が必要になります。

 また、自分で分散投資を行う必要があり、リスク管理がより複雑になります。さらに、投資先企業の業績不振や不祥事が株価の急落を引き起こす可能性もあるため、リスクに早急に対処できるスキルが必要なことを理解しておきましょう。

投信のメリットとデメリット

 投信は、初心者でも手軽に始められる投資手段です。メリットは、経験豊富なファンドマネージャーが複数の銘柄を選び運用するため、銘柄選定の悩みから解放される点です。1つの商品だけでも分散投資によるリスク軽減が期待できます。

 積立投資を利用することで、購入価格を平均化できるドル・コスト平均法で運用することも可能です。

 一方デメリットは、運用には手数料が伴い、これらのコストは投資家の負担となります。また、投信は市場の個別株とは異なり、価額が決まるのは1日1回のためタイムリーな売買取引ができない特徴もあります。

NISAでは外国株への投資ができる

 NISAを通じて外国株への投資が可能であることは、これまでにも知られていました。しかしNISAの枠の種類によって、対象商品が異なるため制度内容をよく理解することが大切です。

 2024年以降のNISA制度の内容を、詳しく見ていきましょう。

2024年以降のNISA制度の内容を把握しよう

 2024年以降のNISA制度の主な内容は、以下のとおりです。

つみたて投資枠 成長投資枠
対象者 18歳以上
年間投資
上限額
120万円 240万円
非課税保有
限度額
合計1,800万円
(うち、成長投資枠の上限1,200万円)
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託・ETFなど※
非課税期間 無期限
新規に投資できる期間 無期限(恒久化)
積立の引き出し いつでも可能
  • ①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除く

 2024年以降のNISAと2023年までのNISAを比較すると、運用期間の無期限化が大きな改善点です。

 2023年までのNISAでは運用期間が5年や20年と限定されていましたが、2024年以降のNISAではこの制限がなくなり、長期的な資産運用が実現します。さらに、2023年までのNISAでは各投資枠の併用が不可能でしたが、2024年以降のNISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになり、投資の柔軟性が向上しました。

 年間の投資枠も拡大し、最大360万円までの投資が可能になり、非課税保有限度額も最大1,800万円に引き上げられました。これにより、2024年以降のNISAは従来の制度に比べてより効果的な資産形成が見込めるようになったと言えるでしょう。

NISAを利用した外国株への投資方法

 NISA制度では以下のように、投資できる商品が限定されています。

種類 つみたて投資枠 成長投資枠
投資可能
商品
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁への届出が必要) 上場株式・投資信託・ETFなど※
  • ①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除く

 NISAを利用して外国株に投資する際、成長投資枠を使用すると、直接特定の外国企業に投資できます。加えて、ETF(上場投資信託)への投資も可能です。ETFも投資信託ですが、ETFは証券取引所に上場し、株式のようにリアルタイムで価格が変動し売買されます。

 一方で、つみたて投資枠では投資対象が投信に限定されますが、外国株へ投資する投信も存在します。そのため、つみたて投資枠を通じて間接的にさまざまな国や企業に分散投資できます。

NISAで外国株投資するなら投信?個別株?

 前項のとおり、投信と個別株にはそれぞれ異なる特徴があるため、一概にどちらが良いとは言えません。

 投信と個別株のどちらが優れているかではなく、自分の投資スタイルに合わせて選択する、または両方を組み合わせることも1つの方法です。NISAを利用して投信と個別株を組み合わせて運用する方法を見ていきましょう。

2024年以降のNISAでは併用が可能!自分のスタイルで運用しよう

 2023年までのNISAでは一般NISAとつみたてNISAの併用ができませんでした。投資家はどちらか一方を選ばなければならず、一般的につみたてNISAが初心者や長期的な資産形成に適しているとされていました。しかし、2024年以降のNISAでは、これらの投資枠を併用することが可能です。これにより、投資家は自分の好きな方法で投資を行えます。

 例えば、成長投資枠を使って個別の大手米国株を保有することも、つみたて投資枠で全米を対象とした投信を購入することも可能です。また、成長投資枠でETFを購入する選択肢もあります。

 ただし外国株への投資にはメリットとデメリットがあり、これらについても理解しておくことが重要です。次項で詳しく解説します。

NISAで外国株に投資するメリット

 NISAで外国株に投資するメリットは、以下のとおりです。

  • 売却益にかかる税金が非課税になる
  • 比較的少額の資金で投資を始められる

 それぞれ詳しく解説します。

売却益にかかる税金が非課税になる

 1つ目のメリットは、得られる利益が非課税になる点です。これは、NISA口座利用の最大のメリットでもあります。

 株式投資で得られる利益には、売却益と配当金の2種類があります。売却益は商品を売却した時の利益のことで、配当金は株主に還元される企業の利益のことです。

 通常の株式投資の場合、売却益に20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座を利用した投資なら、売却益が非課税です。外国株はリターンの大きい商品も多いので、非課税になるとその分大きな利益が得られます。

比較的少額の資金で投資を始められる

 外国株への投資は比較的少額資金で始められるので、挑戦しやすいというメリットもあります。これは、米国株をはじめ外国株の多くが単元株制度を導入していないことに由来します。

 単元株制度とは、企業が株式の売買に対して最低売買株数を定められる制度です。日本株の場合、100株ごとを1単元として取引を行うのが一般的です。100株買うとなると大きな資金が必要になり、その分リスクも負うことになります。

 外国株では単元株制度を設けず、1株から購入できたり積立で購入したりできるので、少ない金額で始められるメリットがあります。

投信なら自動的に分散投資ができる

 1社のみの投資ではリスクがあるため、投資をするうえで資産を分散させるのが基本です。

 投信を利用することで、自動的に分散投資が可能になります。投信は、多くの個別銘柄を1つのパッケージにまとめた投資商品で、多くの投資家から集めた資金を専門家が運用します。

 投信ならNISAを利用して外国株に連動する商品に投資でき、さらに、世界各国の債券や不動産にも投資している商品も存在します。これにより、単一企業への投資リスクを回避し、世界中のさまざまな資産に分散して投資することが可能です。

 1つの投信を購入するだけで、幅広い資産に対する投資が実現できるため、特に投資初心者にとって有効な手段と言えるでしょう。

NISAで外国株に投資するデメリット

 外国株への投資はメリットばかりではありません。NISAで外国株に投資するデメリットは、以下の4つです。

  • 外国税額控除の適用外!配当金に税金がかかる
  • 損益通算・繰越控除ができない
  • 情報が入りにくい
  • 為替変動リスクがある

 それぞれ詳しく解説します。

外国税額控除の適用外!配当金に税金がかかる

 外国税額控除制度とは、日本に居住する人が外国で納付した所得税を二重課税から救済するための制度です。

 日本は居住地国課税制を採用しており、国内外の所得に対して税金を課しますが、外国で発生した所得には、その国の税制に従って税金が課されることがあります。この場合、外国税額控除によって二重課税を調整します。

 米国株や米国ETFの配当所得に関しては、米国内で10%の税が源泉徴収され、日本でも20.315%の課税対象となりますが、外国税額控除を利用することで、外国で支払った税金を日本の所得税や住民税から差し引くことが可能です。

 しかし、NISA口座で保有する米国株や中国株、ETFの配当金に関しては国内で非課税とされているため、確定申告ができず外国税額控除の適用も受けられません。

 その結果、現地で源泉徴収された税金は非課税とすることはできず、NISAを利用しても米国株や米国ETFの配当金にかかる10%の税金は発生します。

 NISAは非課税で投資ができる制度であり、税金負担の軽減に有効ですが、外国税額控除の適用外であることは、理解しておきましょう。

損益通算・繰越控除ができない

 損益通算や繰越控除といった制度を利用できない点も、NISA口座が非課税口座であることによるデメリットです。

 損益通算とは、投資や事業によって損失が出た場合に利用できる税金の救済制度です。損失をほかの所得から差し引いて計算することで、税金の負担を軽減できます。その年の所得から引ききれない場合には、翌年以降3年間の所得に繰り越すことも可能です。これを繰越控除と言います。損益通算や繰越控除は確定申告で申請することが可能です。

 しかし非課税であるNISA口座は、損失が出た場合でもこの申請ができませんので注意しましょう。

情報が入りにくい

 投資には企業情報や情勢をとらえた行動が大切です。しかし、外国株は日本の商品と比べて情報が入りにくいというデメリットがあります。

 株式市場は日々さまざまな影響を受けて変化を続けています。企業の情報に注目することも大切ですが、国の経済政策にも注意が必要です。例えば中国株では、共産党が企業介入を行うことで株価が急騰・暴落する可能性にさらされています。また、日本やアメリカなど、関連性の高い国の経済政策によっても株式市場の大きな変動が予想されるでしょう。

 このように、外国株への投資は企業情報だけでなく、各国の政治や経済状況、関連国の情勢など世界経済に目を向ける必要があります。

為替変動リスクがある

 NISAを利用して外国株に投資する際、為替変動リスクを理解しておくことは重要です。このリスクは、海外の通貨と日本円の為替レートの変動によって、投資の利益や損失が影響を受けることを意味します。

 例えば、米ドルと日本円の場合、株を購入した時より売却時の円高ドル安が進んでいると、株価自体が上昇しても円換算での損失が発生する可能性があります。

 売却時に為替差損が予想される場合、米ドルでの資産を一時的に保有し、円安ドル高の状況になってから両替することで、為替リスクを防ぐ戦略が有効です。

 またNISAの運用期間が無期限になったことにより、為替レートが有利になるまで株を保有し続け、売却の時期をずらす選択肢もあります。このように、外国株投資では為替変動リスクを常に意識し、適切に対応することが重要です。

NISAで外国株(米国株)に投資する前に知っておきたい各種株価の違い

 NISAで外国株(米国株)に投資する前に知っておきたい各種株価は以下のとおりです。

  • NYダウ
  • ナスダック
  • S&P500

 それぞれの違いを詳しく解説します。

NYダウとは

 NYダウ(ニューヨークダウ)は、ダウ・ジョーンズ工業株価平均のことで、米国株式市場を代表する指数の1つです。

 この指数は、アメリカ各業種の代表的な30銘柄から構成されており、これらの銘柄はS&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社によって選出されます。

 NYダウの構成銘柄は、高い成長性と知名度を持ち、米国内で主要な売上を生み出す企業から選ばれ、時代に応じて米国を代表する企業へと更新されています。

 NYダウは30銘柄の平均に基づいており、値がさ株の影響を受けやすいことが特徴です。「値がさ株」とは、1株あたりの株価が非常に高い株式のことで、主に長期にわたり安定した業績を持つ大企業に見られます。これらの株式は、投資に高額な資金を要することがあり、株価指数に大きな影響を与えることもあります。

 日本の株価指数としては、日経平均株価やTOPIXがあり、これらと比較してもNYダウはその特徴的な構成と影響力で注目されているのです。NYダウや日経平均株価などのような市場指数の動きに追従する成果を目標とする投信をインデックスファンドと呼び、投資初心者におススメのファンドです。

ナスダックとは

 ナスダック(NASDAQ)は、全米証券業協会が運営する米国の代表的な株式市場で、ハイテク企業や新興企業の株式が主に取引される場所です。

 1971年に開設され、Microsoft社やApple社などの著名企業のほか、任天堂や日産自動車のような日本企業も上場しています。NASDAQ総合指数はナスダック市場に上場する全ての銘柄を対象にした時価総額加重平均の指数です。

 また、ナスダック指数には2種類あり、NASDAQ100指数は時価総額上位約100銘柄(金融業を除く)を対象としたもので、GAFAM(※)などのハイテク企業が多く含まれています。これに対して、NASDAQ総合指数はナスダック市場に上場している約3,000の銘柄全てを対象とします。

 ナスダックは、特にテクノロジー関連企業に焦点を当てた市場として知られ、IT業界の動向を反映する重要な指標とされています。

  • GAFAM…Google、Apple、Facebook(現Meta)、Amazon、Microsoft5社の頭文字をとった言葉

S&P500とは

 S&P500(S&P500種指数)は、米国の代表的な株価指数で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場する約500の大型企業の株価を時価総額で加重平均して算出されます。

 米国株式市場の約80%の時価総額をカバーするS&P500は、市場全体の動向を反映し、その構成銘柄は高い流動性と大きな時価総額を持つ企業から厳選されています。

 この指数は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社により公表され、米国株式市場を代表する重要な指標です。

 また、S&P500に連動する投信、いわゆるインデックスファンドがあり、これは市場の動きと連動する運用を目指します。これに対し、アクティブファンドはファンドマネージャーによる銘柄選定でインデックスを上回る運用成績を目指しています。

 S&P500は米国市場の動向を把握するのに不可欠な指標であり、投資戦略を立てる際に重要な役割を果たすと言えるでしょう。

少額からできる常陽銀行の投信

 株式投資には数十万円用意する必要がある場合も多いですが、常陽銀行の投信は、少額から挑戦できるので初めての投資にもおススメです。積み立てなら1,000円から、一括は1万円から購入できます。

 取り扱うファンドも国内株式型、世界株式型、国内債券型、世界債券型、バランス型、不動産型(REIT)の6種類から選べます。累積リターンや直近分配金、投信スコアランキングなど、ファンド選びに活用できる情報も豊富なので、初めての利用でも選びやすいです。

 また、インターネットで始めることもできますが、窓口での相談が可能です。初めてで不安な人はぜひ対面での相談を活用して、納得のいく投資方法を決めましょう。

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まとめ

 NISAは投資で得た利益が非課税になることや無期限で運用ができることなど、さまざまなメリットがあります。外国株の購入との相性が良いため、外国株への投資を考えているならNISA口座の利用を検討しましょう。

 しかし、リスクが高いことや世界情勢に目を向ける必要があるなど、運用のハードルが高いというデメリットもあります。こうしたデメリットを解消するためには、分散投資ができる投信も1つの方法です。

 投信なら、資産運用のプロに運用を任せられ、複数の商品を組み合わせられるためリスクを低く抑えられます。また、金額を指定して購入するためNISAの非課税枠の利用がしやすいというメリットもあります。外国株に投資したいなら、NISA口座を利用した投信がおススメです。

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(2024年2月1日)

本コラムの内容は掲載日現在の情報です。
コラム内容を参考にする場合は、必ず出典元や関連情報により最新の情報を確認のうえでご活用ください。

以 上

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