NISAでマイナスになったら?損した・下落・暴落時の正しい対処法と心構え

2026.07.14
NISAで評価額がマイナスになり、「損切りするべき?」「このまま運用を続けていいのか?」と不安になる人は少なくありません。
しかし、NISAでマイナスが発生するのは珍しいことではありません。特に長期投資の場合、一時的な下落を繰り返しながら投資した資産の成長を待つのが基本です。
本記事では、NISAでマイナスになる仕組みと下落時の適切な対処法を解説します。マイナス時に注意したい落とし穴や長期投資を続けるメリットも案内するため、不安な人はぜひ参考にしてください。
目次
1.NISAでマイナスになるのはなぜ?仕組みを理解しよう
実は、NISAの運用中に評価額がマイナスになるのは珍しいことではありません。マイナスになる仕組みと要因について解説します。
投資信託・株式は値動きがある商品
NISAで購入できる投資信託や株式は日々価格が変動する金融商品です。購入後に評価額が下がり、投資元本を下回る「マイナス」状態になることもあります。
ただし、評価額がマイナスになっているのはあくまで含み損です。含み損とは、「現在の価格で計算すると評価額はマイナスだが、売却していないため損失は確定していない」状態です。売却せずに保有していれば、この先、評価額がプラスになる可能性は十分あります。
マイナスになりやすい3つのタイミング
投資信託や株式の評価額は、主に以下の局面でマイナスになったり、NISAの評価額が大きく減ったりする傾向があります。
- 世界情勢が悪化した時:金利上昇、景気後退、戦争・災害の発生、政治的対立、為替変動など
- 企業業績が低迷した時:赤字決算、配当減少や株主優待の廃止、不祥事、商品トラブルなど
- 投資家心理が悪化した時:機関投資家が景気や企業業績の先行きを懸念して株を大量に売却する など
例えば、2020年には新型コロナウイルス感染症の流行で世界的に経済活動が停滞し、株式市場全体が暴落する「コロナ・ショック」が発生しました。このような相場の暴落・下落時には、NISAで運用している資産の評価額も急激に減ることがあります。
戦争や政治的な対立が発生し、機関投資家が景気の先行きを懸念して大量の株式を売却するケースもあります。このような時は、個別企業の業績が良くても株価が下落するため、常に複合的な要因が値動きに影響を与えていると言えます。
2.NISAでマイナスになった時に注意したい3つの落とし穴
NISAがマイナスになると、「NISAで損した」「このまま損失が拡大するのでは」と不安になり、慌てて売却したり、積み立てをやめたりする人もいるでしょう。
しかし、一時的に評価額が下がったからといって、投資先として不適切とは限りません。マイナスが発生した時こそ、慌てず長期視点で判断することが大切です。
ここでは、マイナス時に注意したい落とし穴について解説します。
慌てて売却する
NISAでマイナスが発生すると、「これ以上損をしたくない」「NISAで損するくらいなら売ってしまいたい」と売却を検討する人もいます。
しかし、マイナスの状態で売却すると損失が確定します。売却後に相場が回復して評価額がプラスになっても、売却した資産は戻りません。
短期的な値動きばかり見ていると、恐怖や不安で判断力が低下しやすくなります。マイナスが発生した際はまず状況を整理し、焦って売却しないように気をつけてください。
積み立ての中断・停止
積み立ての中断・停止を考える人もいるでしょう。
しかし、下落局面で積み立てを見直すべきケースは、投資する資産の成長性に大きな懸念が生じた場合です。下落の要因が一時的なもので、投資対象に懸念要素がないのであれば、慌てて積み立てを停止する必要はありません。
評価額が下落した局面は、より多くの口数を割安な価格で購入できるチャンスでもあります。積み立てを継続すれば平均購入単価を抑えやすくなり、結果として相場回復時の利益につながる可能性があります。
「損益通算」を目的とした売却
NISA口座で損失が出ても、「損益通算」や「繰越控除」は利用できません。
特定口座や一般口座などの投資口座では、損失発生時に他の口座の利益と相殺(損益通算)したり、損失を翌年以降に繰り越したり(繰越控除)できる仕組みがあります。
| 損益通算 |
|
| 繰越控除 |
|
しかし、NISA口座ではこれらの仕組みを利用できません。「他の口座で利益が出ているので、NISA口座で損切りして損益通算したい」と考えて売却しても、税制上のメリットはないため注意しましょう。
3.NISAがマイナスになった時の正しい対処法
NISAで評価額がマイナスになった時は慌てず、まずは状況を整理してください。
ここでは、マイナス発生時の適切な対処法を解説します。
投資対象の適性を判断し、必要に応じて追加投資
まずは、現在保有している商品が投資対象として適しているかどうかを確認します。
先述したように、投資信託や株式の評価額が下がる背景には、景気悪化や戦争・災害などによる市場全体の要因と、個別企業の業績悪化など投資対象そのものの個別要因があります。まずはマイナス要因がどこにあるのかを調べ、一時的な下落なのか、投資対象に問題があるのかを確認しましょう。
投資対象の成長性に懸念はないと判断できれば、売却や積立投資の中断をする必要はありません。資金的余裕があれば追加投資を行い、平均購入単価を抑えてより大きな収益につなげる戦略も有効です。
ポートフォリオ(商品構成)を見直す
評価額のマイナスが大きい場合は、保有商品のバランスを見直すことも大切です。
例えば「個別株で米国の大手IT企業銘柄」「特定のテーマ型投資信託」だけを保有している場合、地域や業種に偏りがあるため、値動きが大きくなる傾向があります。投資の世界には「卵を1つのかごに盛るな」という格言があります。
値動きの振れ幅(リスク)を抑えるために、複数の地域(国内外)と資産(株式・債券・不動産など)に分散させましょう。
余裕資金の額(現金)を改めて確認する
マイナスに強いストレスや不安を感じる場合、余裕資金(現金)が不足している可能性があります。
余裕資金が少ないと含み損発生時の精神的な負担が大きくなり、判断力も低下します。そのため、NISAによる資産運用は生活費とは別の余裕資金で行うのが基本です。生活費を圧迫するほど多額の資金を投資に費やしていないか、改めて確認してみましょう。
余裕資金の目安は生活費の3カ月~6カ月分程度ですが、職業や本人のリスク許容度によっても異なります。無理のない範囲で余裕資金を用意しましょう。
4.【データで解説】長期積立・分散投資ならマイナスは怖くない
NISAで投資を続けていると、評価額が一時的にマイナスになる局面は避けられません。
しかし、短期的な下落があるからといって、それだけで投資の失敗と判断するのは早計です。過去のデータをもとに、長期積立・分散投資と値動きの関係について見てみましょう。
保有期間が長いほど元本割れリスクは低下する
NISAの長期保有、とりわけ長期積立・分散投資には、元本割れの可能性を抑える効果があります。
- 長期:運用期間が長いほど年平均リターンが収束し、元本割れの可能性を抑えやすくなる
- 積立:価格が高い時は少なく、安い時は多く買えるため、平均購入単価を抑えやすくなる
- 分散:異なる資産・地域に投資することで、値動きの振れ幅(リスク)を抑えやすくなる
以下は金融庁が作成した資料に基づき作成した図で、1989年以降、毎月(※1)同じ金額ずつ国内外の株式と債券(※2)に積立投資を行い、5年間と20年間それぞれ保有した場合についての年間収益率(※3)を計算したものです。
※1:積立投資期間は各年1月~12月の一年間です。
※2:対象となる株式と債券は以下の通りです。
日本株式:TOPIX配当込み株価指数
日本債券:BPI総合インデックス
海外株式:MSCIコクサイインデックス(円換算ベース)
海外債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース)
※3:年間収益率:資産運用で得られた一年当たりの利益率
※上記はあくまでシミュレーションであり、将来の投資成果を予想・保証するものではありません。
※日本株式、海外株式といった具体的な指数等への言及は、あくまで例示のために行っているものであり、具体的な指数やそうした指数を用いた商品等への投資を推奨するものではありません。
20年という長期にわたり積立・分散投資を継続すると、どの時点から始めても元本割れせず、収益が安定していたことが分かります。
上記の成果はあくまで過去のデータに基づくもので、将来も同じ運用結果になるとは限りません。しかし、一時的なマイナス局面も含めて「長期・積立・分散」を3つ同時に実践すると、相乗的な効果により、元本割れの可能性を抑制できると言えるでしょう。
株価は暴落を繰り返しながら長期的には成長してきた
株式市場では何度も暴落を経験しながらも、長期的には成長してきた歴史があります。以下は暴落時の最安値(終値ベース)と2026年5月現在の株価指数を比較した表です。近年だけでも以下のような暴落を経験してきました。
| S&P500 | 日経平均株価 | |
|---|---|---|
| 2020年3月:コロナショック | 23日終値 2,237.40ポイント |
19日終値 16,552.83円 |
| 2024年8月:令和のブラックマンデー | 5日終値 5,186.33ポイント |
5日終値 31,458.42円 |
| 2025年4月:関税政策トランプショック | 7日終値 5,062.25ポイント |
7日終値 31,136.58円 |
| 2026年5月12日時点 | 12日終値 7,400.96ポイント |
12日終値 62,742.57円 |
出典)S&P500(FRED(Federal Reserve Bank of St. Louis))
出典)日経平均株価(日経平均プロフィル)
日経平均株価はコロナショック時に1万円台まで下落したものの、2026年現在では6万円台に到達しています。S&P500もコロナショック時からおよそ3倍まで上がっているため、暴落時に運用を始めていれば、現在では高い収益を得られているかもしれません。NISAで運用している資産の下落・暴落局面も、長期的な目線で見れば資産を積み増すチャンスになり得るのです。
5.NISAでマイナスが続く場合に見直したい3つのポイント
NISAでマイナスが続く際は、保有資産の内容や金額などを見直すことが大切です。
保有資産の内容を確認する
評価額のマイナスが続く際は、保有資産の内容を改めて確認しましょう。
例えば「全世界株式型」の投資信託でも、中身の大半は米国株で構成されているケースがあります。この場合、米国株式市場が下落すると、投資信託も影響を受けやすくなります。値動きが気になる際は、日本株や債券など異なる資産も組み合わせ、資産の分散効果を高めてみましょう。
投資信託の内容は月次レポートや目論見書等で確認可能です。「組み入れ資産」などの項目を見て、資産配分に偏りがないか確認しましょう。
積立金額が家計を圧迫していないか見直す
金額が大きすぎると、マイナス時の不安も強くなる傾向があります。毎月の積立金額などが家計を圧迫していないか、改めて確認するようにしてください。
マイナス局面は安く買えるチャンスですが、生活費を切り詰めてまで追加購入する必要はありません。繰り返しにはなりますが、NISAでの資産運用は余裕資金で行うように心がけましょう。
相談できる窓口を活用する
「このまま運用を続けて良いか不安」「自分の判断が正しいか分からない」と感じる場合は、専門家への相談も有効です。
金融機関やファイナンシャルプランナーに相談すれば、マイナス要因やポートフォリオの課題を客観的に確認しやすくなるでしょう。
常陽銀行では、店舗・オンラインの両方で資産運用の相談が可能です。NISAで運用している資産の内容や運用方針について不安がある場合は、相談窓口の活用も検討してみてください。
6.NISAでマイナスになっている時のよくある質問
NISAの評価額がマイナスになった時、よくある質問をQ&A形式で解説します。
Q
NISAでマイナスになる確率は?
Q
一度でもマイナスになったら損失確定?
Q
マイナスが不安な場合どうすれば?
Q
NISAで損したら確定申告が必要?
Q
NISAのマイナス時は買い増しすべき?
7.まとめ
NISAで評価額がマイナスになるのは珍しいことではありません。特に長期投資の場合、一時的な下落を繰り返しながら資産が成長していくため、短期の値動きに惑わされないことが大切です。
含み損が発生した時はまず下落要因を確認し、そのうえで投資対象として適切かどうかを判断しましょう。
常陽銀行ではNISA口座の開設から運用する商品の選定、運用相談まで店舗・オンライン双方で受け付けています。NISAでマイナスが発生して不安がある人、ポートフォリオの見直しをしたい人は、お気軽にお声がけください。
本コラムの内容は掲載日現在の情報です。
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以 上