育児休業給付金とは?必要書類や申請方法を解説!

育児休業給付金とは?

育児休業給付金とは

育児休業給付金とは

 育児休業給付金は、育児休業中の労働者に支給される給付金です。一定の受給条件を満たしていれば夫婦どちらも受給できます。

 給付金は、勤めている企業・事業主を経由して申請しなければならないため、企業側の担当者も制度の内容を理解しておく必要があります。申請後はいつごろから受給できるのか、支給期間はどのくらいなのか、延長は可能なのかを解説します。

育児休業開始後2カ月に1回支給

 育児休業給付金は、育児休業が始まってからおよそ2カ月に1回支給されます。さらに、産後休業を取得した女性の場合は、出産日の58日後に育児休業が始まるとされています。

 出産後にすぐ給付金が支給されるわけではないため、出産後にかかる諸費用は自分たちで支払えるよう準備しなければなりません。

 さらに、育児休業給付金の申請は勤めている企業・事業主を通して手続きをするため、準備や手続きに時間がかかる可能性もあります。申請書自体の提出が遅れると受取日も遅れてしまうため注意が必要です。

支給期間と延長

 育児休業給付金は夫婦どちらも受給可能ですが、母親と父親で支給期間が異なります。母親は、産後休業期間(産後8週間以内)が終了した翌日から子どもの1歳の誕生日前日までです。一方で父親は、子どもの出生当日から1歳の誕生日の前日までの育児休業期間が支給期間となります。その他の条件や支給金額に差はありません。

 また夫婦同時に申請・取得しても、給付金はそれぞれに支給されます。後述しますが、さまざまな状況による延長が必要な場合は、要件を満たせば延長も可能です。

育児休業給付金の受給資格

 育児休業給付金を受給するためには、一定の条件を満たさなければなりません。必要な条件を紹介します。これらの条件をすべて満たしていれば、雇用形態に関わらず給付金を受給できます。

育児休業給付金の受給に必要な条件
条件1 雇用保険に加入している
条件2 1歳未満の子どもがいる
条件3 育休前の2年間のうち、11日以上働いた月が12カ月以上ある
条件4 育児休業期間中、休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が毎月支払われていない
条件5 育児休業期間中、働いている日数が毎月10日以下である

 まず、育児休業給付金を申請できる前提条件として雇用保険に加入している必要があります。

 育児休業給付金は性別を問わず受け取ることができ、条件を満たせば男性でも受給できます。夫婦それぞれが要件を満たしていれば、同一の子に対して育児休業給付を受けることも可能です。

 また、給付金を受け取れるのは子どもが1歳未満の間だけです。

 3については、正社員であれば大半はこの条件を満たしている可能性があります。契約社員やパートなどでも、雇用保険に加入しており2年以上働いていれば申請が可能なため、事前に確認しておきましょう。

 4は、例えば育児休業前に給与を毎月20万円もらっていた人が、育児休業中に毎月16万円以上の賃金を継続して受け取っている場合は育児休業給付金を受給できないというものです。

 また、5は育児休業期間中にアルバイトやパートなども含め就業している日数が1カ月に10日以下でなければなりません。1カ月のうち11日以上働いていると、育児休業給付金は受け取れないため注意しましょう。

給付金額の計算方法

 1カ月あたりに受け取れる給付金は、申請者の育児休業開始時に支給されていた賃金によって変動します。そのため、どのくらいの金額がもらえるのかを事前に計算できます。計算方法は以下の通りです。

 申請者の育児休業開始時の賃金日額×支給日数(通常30日)の67%
(育児休業の開始から6カ月経過後は50%となります)

 育児休業開始時の賃金日額は、事業主の提出する休業開始時賃金月額証明書に記載される、休業開始前の6カ月の賃金を日数(6カ月×30日=180)で割った金額となります。

 たとえば月額20万円程度の場合、育児休業開始から半年間の支給額は、平均として月額13.4万円程度、6カ月経過後の支給額は月額10万円程度となります。

 正確な金額はハローワークに提出する雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書によって、休業開始時の賃金日額が確定したうえで算出されます。

育児休業給付金の申請方法

 実際に給付金を申請するにあたり、必要な書類や手続きの流れを把握しておきましょう。

 手続きしたり必要書類を用意したりするのは申請者だけではなく、勤めている企業側にも書類を用意してもらう必要があります。

 人事や総務の担当者へは、給付金を申請する予定があることを事前に伝えておくと良いでしょう。

必要書類を揃える

 まずは必要書類を用意しましょう。ハローワークには育児休業給付金を申請するために1回、その後2カ月に1回訪れる必要があります。通常は企業側が手続きを行いますが、やむを得ない事情がある場合などは本人が手続きをすることも可能です。

 初回の申請と2回目以降に必要な書類がそれぞれ異なるため、分けて記載します。

初回の申請に必要な書類

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票
  • 育児休業給付金支給申請書
  • 個人番号欄にマイナンバー(個人番号)の記載が必要
  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿またはタイムカード等
  • 母子手帳など育児をしている事実を確認できる書類

2回目以降の申請に必要な書類

  • 育児休業給付支給申請書
  • 賃金台帳、出勤簿またはタイムカード

 初回の申請は母子手帳や育児休業開始時の賃金を証明する書類などが必要ですが、2回目以降の申請では必要となる書類の数が少なくなります。

育児休業の申し出

 育児休業を取得することを決めたら、会社の管轄部署(総務、人事部など)に育児休業の予定があることを伝えます。

 一定数以上の従業員がいる企業であれば担当者も必要な書類などを把握していることがほとんどですが、企業内で自分がはじめて育児休業を申請する場合などは、担当者とともに手続きの流れを確認したほうが良いでしょう。

書類記入

 企業側は育児休業の申告を受け次第、所在地を管轄しているハローワークに用意した必要書類を提出します。

 その書類が受理されると、数日後に育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書などが届くので、書類に申請者が必要事項を記入し、その他に必要な書類を添付したうえで、企業に提出します。

 最後に、企業側が全ての書類をまとめてハローワークへ提出して完了です。

延長希望を行う際の流れ

 2017年雇用保険制度の改正により、理由があれば最大2歳まで支給期間の延長が可能となりました。延長できる条件は以下です。

給付金の延長ができる条件

  • 保育所などに子どもを預けることを希望しているが、保育所の理由によりできない
  • 配偶者が何らかの理由※で養育ができない

 ※何らかの理由は以下のいずれかに該当した場合

  • 配偶者が死亡し、養育者が不在となったとき
  • 病気や負傷、そのほか精神上の障害などにより養育できないとき
  • 婚姻の解消、その他の事情により子どもと同居できなくなったとき
  • 6週間以内に出産する予定、または産後8週間を経過していないとき

 これらの条件を満たせば、1歳から1歳6カ月まで、1歳6カ月から最大2歳までと段階的に延長が可能です。1歳の時点で、2歳までの延長を一度に申請することはできません。

状況に合った必要書類を提出

 給付金の受給を延長したい場合は、育児休業給付金支給申請書に延長する旨を記載して提出します。

 申請の際は、延長対象であることを証明するための書類を提出する必要があります。たとえば、保育所に入所できなかった場合には入所保留や入所不承諾の旨が分かる通知書、病気の場合は、疾病に関する医師の診断書などです。

 延長の申請は企業を通してでも、個人で提出することもどちらも可能です。

出産前には支出計画も入念に

 育児休業期間中は、申請者本人の収入が減ってしまうため給付金で補填しようと考える人も少なくありません。

 しかし、給付金が支給されるまで思った以上に時間がかかることもあります。生活費用の不安を感じず、安心して生活するためには最低でも約2カ月分の生活費を前もって準備しておくと良いでしょう。

 また、育児休業期間中に配偶者の給料だけで生活にかかる費用をすべて賄えるのか、お互いの両親の手助けをどの程度受けられるのかなども事前に把握しておくと良いでしょう。

まとめ

 家族が増えることにより現在の住居が手狭になり、妊娠や出産と同時に住宅購入・住宅ローンを申請する家庭も多くあります。住宅ローンの申し込みと育児休業の申請の時期が重なりそうな場合は、ぜひ常陽銀行へご相談ください。

 住宅ローンについて不安なことがあれば、来店不要で相談できる窓口もご用意しています。お気軽にご利用ください。

(2022年4月22日)

本コラムの内容は掲載日現在の情報です。
コラム内容を参考にする場合は、必ず出典元や関連情報により最新の情報を確認のうえでご活用ください。

以 上

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