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4人家族の1カ月のリアルな生活費は?支出平均と子どもの人数・年齢別生活費を解説

4人家族の1カ月のリアルな生活費は?支出平均と子どもの人数・年齢別生活費を解説
2025.06.11

「家族4人の平均生活費」について調べると、総務省の家計調査をもとに「生活費(消費支出)は30万円前後」と紹介する記事をよく見かけます。

しかしこの金額には、住宅ローンの返済費用が含まれていません。実際には、ローンを含めると生活費が40万円を超えるケースも多く、家計調査を見る際には注意が必要です。

本記事では、4人家族の生活費について、住宅ローンの有無や子どもの人数・年齢別の違いに着目し、リアルな生活費をご紹介します。

節約のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

2023年(令和5年)の国民生活基礎調査によると、国内で子どもがいる世帯は983万5,000世帯。その中で、夫婦と未婚の子ども2人から成る4人世帯は390万2,000世帯です。

少子化が進む中でも、二児家庭は子育て世帯の約4割を占め、4人家族は決して珍しくありません。

さらに、子どもがいる家庭では母親の就業率が8割近くに達しており、今や共働きが一般的です。2004年時点の母親の就業率は全体の6割未満でしたが、この20年で大きく変化していることが分かります。

出典:厚生労働省「2023年(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」より結果の概要

総務省の家計調査をもとに、4人家族の平均生活費と支出の内訳を見てみましょう。
平均生活費は住宅ローンの有無で大きく異なり、住宅ローンを含めない場合は月32~35万円、住宅ローンを含めた平均生活費は月38~41万円です。

共働き世帯 夫のみ片働き世帯
世帯主の平均年齢 44.1歳 42.4歳
持ち家率 88.0% 82.7%
ローン返済ありの割合 63.8% 58.5%
手取り月収 62万6,732円 52万8,264円
生活費合計 35万2,354円 32万5,499円
住宅ローンを含めた生活費合計 41万951円 37万9,830円

※画像をクリックすると拡大表示されます。

出典:総務省統計局「2024年家計調査」より「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを参考に作成

家庭の平均生活費を紹介する際、家計調査の「消費支出」をよく見かけますが、この消費支出には住宅ローンの返済費などいくつか含まれていない支出があります。

このように、家計調査の合計額を見るだけでは実態が分かりません。平均データを見る際は、内訳をよく確認することが重要です。

住宅ローンを含めた生活費は38~41万円

家計調査によると、子どもが2人いる4人世帯の8割以上が持ち家で、約6割の人が住宅ローンを抱えています。住宅ローンの返済費を含めた生活費を詳しく見てみましょう。

※画像をクリックすると拡大表示されます。

共働き世帯 夫のみ片働き世帯
世帯主の平均年齢 44.1歳 42.4歳
持ち家率 88.0% 82.7%
ローン返済ありの割合 63.8% 58.5%
住居費
(住宅ローンは含めない)
1万3,658円 1万7,642円
住宅ローン返済費 5万8,597円 5万4,331円
生活費合計 35万2,354円 32万5,499円
住宅ローンを含めた生活費合計 41万951円 37万9,830円
住宅ローンと他の借入金返済を含めた生活費合計 51万7,198円 48万8,857円

出典:総務省統計局「2024年家計調査」より「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを参考に作成

住宅ローン返済費を含めた生活費は共働き世帯で月41万円、片働きの世帯で月38万円です。
また、住宅ローン以外に自動車ローンなど分割返済中の借入金がある場合、その返済分も含めた生活費の合計額は48~51万円に上ります。

「4人家族の平均生活費30万円」とあっても、このように住宅ローンや他の借入金を含めると月々の支出が50万円を超えるケースもあります。

支出が大きい項目は食費・教育費・住居費

子どもが2人いる4人世帯では、特に支出の大きい項目が以下の3つです。

  • 食費
  • 教育費(教養娯楽費含む)
  • 住居費(住宅ローン返済含む)

一般的に、住宅ローンの支払いは年々返済が進みローン残高が減少していく一方で、子どもの成長にともなって食費や教育費は増加していきます。
下記の表は、4人世帯における生活費の推移を表したものです。

世帯主の年齢別生活費は、34歳までは30万1,642円、35~39歳は33万9,990円、40~44歳は38万3,189円、45~49歳は42万2,795円、50~54歳は42万201円、55~59歳は46万5,330円、60~64歳は36万8,967円、平均は37万9,830円となっています。

※画像をクリックすると拡大表示されます。

出典:総務省統計局「2024年家計調査」より「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを参考に作成
※なお「子どもが2人いる4人世帯」ではなく「4人世帯(有業者1人)」データをもとにしているため、先の調査結果とは数値が若干異なります。

この場合、4人世帯の食費平均は45歳以降に月10万円を超え、教育費平均は50~54歳でピークを迎えます。世帯主が35歳のときに子どもが生まれたと仮定すると、小学生後半~中学生にかけて食費が徐々に増え、高校受験~大学進学で一気に教育費の支出がピークに達するイメージです。

子どもの成長にあわせて生活費の内訳や金額は変わっていくため、将来を見据えた生活設計を心がけましょう。

ここでは、子どもの人数や年齢によって生活費がどう変わるのかを紹介します。

子ども1人と子ども2人の生活費の違い

「もう1人子どもが欲しいけど、生活費が増えるのが心配」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
子ども2人(4人家族)と子ども1人(3人家族)の平均生活費の違いを紹介します。

子ども2人

子ども1人

共働き世帯 夫のみ片働き世帯 共働き世帯 夫のみ片働き世帯
世帯主の平均年齢 44.1歳 42.4歳 46.3歳 46.5歳
持ち家率 88.0% 82.7% 79.5% 71.7%
ローン返済ありの割合 63.8% 58.5% 49.2% 41.2%
手取り月収 62万6,732円 52万8,264円 58万533円 47万6,716円

※画像をクリックすると拡大表示されます。

出典:総務省統計局「2024年家計調査」より「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを参考に作成

意外なことに、子どもが1人増えても生活費は1~2万円程度しか変わりません。
むしろ顕著なのは収入の差で、共働き世帯では子どもが1人でも4~5万円ほど多く手取りがあり、その分支出も増える傾向にあります。「もう1人子どもを…」と悩んでいる家庭では、家計だけでなく共働きをの継続可否も重要な検討材料となるでしょう。

子どもの年齢別にかかる生活費

子どもの成長に伴って、生活費も変化します。子どもの年齢別生活費の内訳を見てみましょう。

未就学児の生活費

この時期は、食費や教育費は少ないのですが、子どもを預けて働く場合は保育費が主な支出となります。自治体や所得によっては、保育料が高額になることもあるでしょう。
子どもが年少クラス(満3歳になった後の4月1日から)になると、幼児教育・保育無償化の適用が始まります。 0~3歳になるまで保育料の負担が高額だった方も、負担が大幅に軽減されます。この時期は、積極的に貯蓄を進める好機です。

小学生・中学生・高校生の生活費

子どもが小学生になると、教育費の負担が徐々にと増えてきます。
また、公立と私立ではかかる費用に大きな違いがあります。

【子どもにかかる平均教育費】

公立 私立
小学校(6年間) 201万7,378円 1,097万4,394円
中学校(3年間) 162万6,213円 467万1,589円
高等学校(3年間) 178万7,328円 307万7,235円

※習いごとや塾代、家庭教育など学校外の費用も含めた教育費全般を記載

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査の結果について」のデータを参考に作成

公立の場合、小学生の間は比較的負担を抑えられますが、中学生以降は部活や塾などの費用が発生します。負担が少ない未就学児から小学生時代の間に、少しずつ貯蓄を進めておくと安心です。

2025年4月には公立高校の授業料無償化(就学支援金制度)の支援拡充が、2026年4月からは私立高校における支援拡充が予定されています。あくまで授業料のみの支援ですが、それでも大きな負担軽減になるでしょう。

大学生の生活費

大学進学時期になると、教育費の負担が一番大きくなります。大学の入学料や授業料の平均は次のとおりです。

【大学でかかる平均授業料】

入学料 年間の授業料 4年間の授業料
私立大学 24万806円 95万9,205円 383万6,820円
国立大学 28万2,000円 53万5,800円 214万3,200円
公立大学 37万4,371円 53万6,191円 214万4,764円

出典:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」「国公私立大学の授業料等の推移」のデータを参考に作成

この表には、下宿費用や留学費などは含まれていません。大学の場所や留学の希望によっては、さらに教育費がかかることも想定しておくと安心です。

では、4人家族での生活費を節約するためのポイントをお話しします。

家計の節約を考えるとき、まず食費を減らそうとする方が多いですが、食べ盛りの子どもがいる家庭では食費を無理に節約するのは現実的ではありません。

また、共働き家庭では時間重視で惣菜を購入したり、多少割高でもネットスーパーを利用したりすることも増えていると考えられます。

食費のような日々の行動に直結する「変動費」は節約対象から外して、毎月一定額かかる「固定費」を見直すことがポイントです。固定費の中で特に見直したい項目は下記の4つです。

固定費の中でも大きな割合を占めるため、節約効果が高い項目です。できるだけ家賃が安い物件を選ぶ、住宅ローン金利はできるだけ低くするなどして、毎月の住居費は極力抑えましょう。すでに住宅ローンを借りている人はより条件の良い金融機関を探し、借り換えることも検討してください。

定期的に加入内容を見直して、現在の家族構成やライフプランに適した保障内容に変更することで、保険料を軽減できます。特に、住宅購入者は団体信用生命保険で保障されているため、生命保険の内容を見直すことをお勧めします。

電気やガスの供給会社を見直し、家族のライフスタイルにあったプランに見直しましょう。

スマホやネット回線の見直し、格安SIMのプランや家族割・セット割などを活用して通信費を抑えましょう。

家計調査における4人家族の平均生活費は月32~35万円です。ただし、住宅ローンを含めると月38~41万円の支出があり、その他の借入金を含めると50万円を超えることもあります。

こうした生活費は住宅ローンの有無や子どもの成長段階、親の働き方によって大きく変わります。平均的な生活費と自分の生活費に差がある場合は、費用の内訳を見直して、見落としているポイントがないかを確認することが大切です。

なお、生活費の節約で重要なポイントは固定費の見直しです。住宅ローンの見直しは節約効果が高いため、住宅購入や借り換えを検討している方は常陽銀行までお気軽にご相談ください。

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