老後の生活資金に必要な金額は?計画的に貯める・増やす方法を紹介!

老後の生活資金に必要な金額は?

老後に必要な資金はどのくらい?

 退職後の老後生活が20~30年続く場合、厚生年金や国民年金等の公的年金以外に1,300~2,000万円の資金が必要と言われています。この「老後資金2,000万円問題」を耳にして、漠然と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。具体的にどんな項目にどのくらいの資金が必要になるのか、改めて考えてみましょう。

 公益財団法人生命保険文化センターが実施した「令和元年度生活保障に関する調査(令和元年)」によると、65歳以上の夫婦が食費や生活費などの日常生活に最低限必要な費用の平均額は月22.1万円となりました。また、総務省統計局 家計調査年報(家計収支編/2020年)によれば2人世帯の場合に必要な生活費は232,403円で、単身世帯の場合138,542円となります。

必要な生活費

 しかし80歳以上になると要介護状態になるケースもあり、日常生活費の構成比が大きく変わることもあります。さらに退職後に旅行や趣味を楽しみたい場合は、その分の資金を多めに見積もる必要もあるでしょう。

生活費以外に必要となる資金

 ゆとりのある老後生活を送るためには、病気での入院や住居のリフォーム・修理費用など、生活費とは別で費用が必要となるケースに備えて資金を用意しなければなりません。生活費以外に発生する可能性のある資金の例を紹介します。

入院や手術にかかる費用

 老後生活を送る中で、万が一病気にかかってしまい入院が必要となった場合の入院費用の平均は1日当たり約15,000円となります(国民健康保険の場合)。70~74歳の平均入院日数は14日以上となり、1回の平均入院費用は60万円前後と高額で、病気の種別や手術費用によってはさらに費用がかかる可能性があります。日本には高額療養費制度があり、いくらかは戻ってきますが、支払いの時点ではまとまった金額が必要となります。

介護にかかる費用

 80歳を超えると、要介護・要支援の認定を受ける人が増加します。そのため、事前にどのくらいの費用がかかるかを想定しておくと安心です。厚生労働省のデータから、80歳以上の人口のうち要介護・要支援者の認定を受けている人は41.5%となり、10人に4人は介護や支援が必要な状態となっています。介護費用は介護が必要になった年齢と所得、介護の認定レベル(在宅or施設、要支援1~2、要介護1~5)によっても大きく変化します。介護費用にも高額療養費制度と同じく、高額介護サービス費として一部の払い戻しを受けられる制度があります。しかし、かかる費用の全額がカバーされるわけではないため、月々の負担はゼロにはなりません。高額介護サービス費制度を利用しても足りない費用は自分たちで捻出しなければなりません。

がん治療・先進医療技術の費用

 日本ではがんと診断される確率が男性61.6%、女性46.2%と高く、約2人に1人の割合です。(公益財団法人がん研究振興財団/がんの統計’16)がんの治療には、手術・入院費用だけではなく、退院後の治療費もかかります。また、がん治療や白内障の治療として行われる手術には先進医療技術を使用するものがあり、手術だけでも数百万円がかかる場合もあります。2人に1人の割合でがんにかかっているとなれば、高確率で自分ががんになることも容易に想定できます。保険を契約することを検討したり、医療費を別で貯蓄しておく必要があるでしょう。

死後清算費用

 自分自身が亡くなった後にかかるお金についても大まかに把握しておきましょう。人が亡くなった際、葬儀にかかる費用は100万円以上となることが大半です。葬儀の費用は葬儀代と飲食費、返礼品の3つに分類されます。葬儀代には葬儀会場を借りる費用や祭壇・棺の準備費、そして搬送費など葬儀を行ううえで必要な一式の費用が含まれています。また、亡くなる前に入院していたのであればその清算をしなければならないケースもあります。さらに新しくお墓を購入したり、納骨堂に納める費用も必要です。一般にお墓や土地の価格は地域によって変動しますが葬儀とお墓の準備などを合わせると、数百万円は必要であると想定しておいたほうが良いかもしれません。

老後資金の準備のために整理すること

 老後資金の準備は、できる限り早い段階で始めることをおススメします。早い段階から資金を積み立てていけば、毎月の積立金額が少なくても積立期間が長いことで一定額の資金が貯まりやすくなります。積立金がある程度たまってきたら資産運用を検討しても良いでしょう。資産運用によって収益を増やすことで、さらに効率よく老後の資金を準備できます。老後の生活資金準備を始める前に、自分の老後の収入や支出、もらえる年金額がどのくらいなのかを整理しましょう。

老後の収入計画や支出を明確にする

 まずは、現在持っている主な資産と現在の支出・老後の支出についてどのくらいの出費があるのか確認しましょう。現時点での保有資産や収入・支出を知ることで、準備すべきお金はいくらなのかも見えてきます。

 現在の資産や収入を確認するときは、土地・建物などの不動産や有価証券など、その時の経済状況によって評価額が変動する資産の金額に注意が必要です。不動産や有価証券は、購入時の価格ではなく今現在の評価額を調べるようにしましょう。特に持ち家の場合、新築や購入時の価格と現在では金額に大きな差があることがほとんどです。

 また、老後の消費支出は現在の家計を見直して「何にいくらかかっているのか」を分析することから始めます。現在の支出を把握すれば、子どもの学費や保険料などの将来的に負担がなくなる項目が明確になり、一方で医療費などの増えることが予想される項目も分かります。これらを考慮したうえで、老後の消費支出を見積もってみましょう。

 老後の消費支出を算出したら現時点で黒字と赤字の月どちらが多いか、収入と支出の関係を確認します。将来減少するであろう支出があったとしても赤字になることが予想される場合、不足分をどのように補うかを考えなければなりません。このように自分の老後の支出を現実的に見つめ直すことで、今後の対策を具体的に考えられるようになります。

公的年金の金額を確認する

 老後資金を準備するために公的年金制度について理解を深め、不足分を私的年金やその他の資産でどこまで補えるかを整理しましょう。老後の支出についてもシミュレーションすることが重要です。

 老後の生活資金の主軸となる年金は公的年金です。日本の公的年金は国民年金と厚生年金の二階建てになっています。土台になる国民年金は20歳以上60歳未満の国民全員が加入する制度です。その上にある厚生年金は民間企業や役所等に勤務する人が加入し、国民年金に上乗せして年金が支給されます。公的年金の支給額は保険料納付期間や加入期間に応じて異なり、現時点での年金支給見込額などを確認する方法としては、毎年郵送で届く「ねんきん定期便」やネット上で確認できる「ねんきんネット」があります。

私的年金もチェック

 私的年金は、個人の努力で増やす年金です。公的年金だけでは不安な方のために個人それぞれが任意で加入できます。私的年金には確定給付企業年金や確定拠出年金、個人年金保険などがありますが、それぞれの商品について理解を深めて加入を検討しましょう。

確定給付企業年金

 規約型確定給付企業年金と基金型確定給付企業年金の2種類があり、どちらも従業員の同意を得て年金資産を運用し給付するものです。規約型は掛け金を信託会社や生命保険会社などで運用し、基金型は別法人として設立した企業年金基金が年金資産を管理・運用します。

確定拠出年金

 確定拠出年金は、企業や従業員が拠出した掛金とその運用収益との合計額で給付額が決まる年金制度です。企業が掛け金を拠出する場合は企業型確定拠出年金で、加入者自身が拠出する場合は個人型年金(iDeCo)と呼ばれます。

個人年金保険

 一定期間保険料を納めると、一定年齢から保険金を年金形式で受け取れる保険商品の一種です。個人年金保険には所得控除の対象となる商品もあります。

老後資金を増やす方法

 老後の収入を少しでも増やすためのおススメの方法を紹介します。投資信託や株式投資などは価格の変動がありますが、長期運用による分散投資でリスクを低く抑えることができます。

投資信託

 投資信託は、個人から集めたお金を1つの大きな資金にまとめ、株式や債券などへ投資し、専門家が運用する商品です。どのような対象に投資するかは、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が判断し、投資した金額に応じて運用で得られた利益が分配されます。投資信託の成果は市場環境などに影響されるため、利益が得られることもあれば損をすることもあり、元本が保証されている金融商品ではありません。老後資金を減らさないためにも、初心者の方ははじめから大きな金額を投資せずに、少額から少しずつ慣れていくことが大切です。

NISA

 投資信託に投資するなら、投資で得た利益が非課税になるNISA(ニーサ)がおすすめです。通常、株式や投資信託などから得られる配当や譲渡益には所得税や地方税がかかりますが、NISAを利用すると新規購入分を対象に、その配当や譲渡益が非課税になります。

 また、毎月一定額を購入する「積立投資」は、一度申し込みをすると自動的に積立されるため手間なく資産形成をすることができます。常陽銀行の積立投資信託なら月々1,000円から始めることができるので、少ない金額からスタートしてみるのはいかがでしょうか。

 原則60歳までは引き出せない個人型確定拠出年金(iDeCo)と比較すると、NISAは税制上の優遇措置は限定されますが、積み立てたお金を好きなタイミングで引き出せることがメリットです。老後資金に限定するなら個人型確定拠出年金も良いかもしれませんが、ほかの用途もある場合はNISAでの積立投資の併用もおススメです。

NISAについてはこちら

個人型確定拠出年金(iDeCo)

 個人型確定拠出年金はiDeCoとも呼ばれ、老後資金を増やすことを支援するために国が設けた私的年金制度です。個人がそれぞれ自分で掛金を支払い、運用方法を選択できることが特長です。税制上の優遇措置が受けられることや、投資信託や定期預金など自分に合った商品を選択できることも魅力の1つです。

まとめ

 老後の生活における漠然とした不安を少しでも解消できるよう、まずは老後にかかる費用を予測すること・自分がもらえる年金の金額を明確にすること、不足分はどのくらいになるか算出することから始めましょう。もし資金の運用でよく分からないことがあれば、投資企業や銀行の窓口でアドバイスを受けるのも1つの方法です。

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(2024年1月4日)

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以 上

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