エンディングノートの必要性とは?作成すると良い理由や書き方を解説

「エンディングノートを書く必要性はあるのだろうか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
エンディングノートには、自分自身の情報や意向などを記載できるため、万が一のときに残された家族の負担が軽減されやすいです。
また、残された人生を考える良いきっかけにもなるため、エンディングノートは多くの人にとって必要性が高いと言えます。
本記事では、エンディングノートを作成する必要性や書くと良い項目などを分かりやすく解説します。
エンディングノートの必要性とは

エンディングノートは、自分自身が亡くなったときや認知症などで意思疎通ができなくなったときに備えて作成するノートです。人生の最後に向けた準備である「終活」の一環として、作成されるのが一般的です。
エンディングノートに決まった形式はとくにないため、市販のノートや手紙、スマートフォンのメモ帳、テキストファイルなどにも書けます。記載する内容も、作成する人の自由です。氏名や生年月日といった基本的な情報だけでなく、延命治療や介護、葬儀、遺産相続などの希望を書くことも可能です。
まずは、エンディングノートを作成すると良い理由や遺言書との違いをみていきましょう。
エンディングノートを作成すると良い理由
エンディングノートを作成すると良い主な理由を、4つご紹介します。
1.自分自身の意向や気持ちを書くことができる
エンディングノートには、亡くなった後の希望を書いておくことができます。例えば、希望する葬儀のスタイルや参列して欲しい人などの希望を伝えることが可能です。
ペットを飼っている場合は、自分自身に万が一のことがあった後、どのように世話をして欲しいのかを書くことができます。
亡くなった後の意向を、特定の家族のみに口頭で伝えていると、他の家族が本当に故人の遺志だったかどうかを確認するのが困難です。その点、エンディングノートに書かれてあれば、残された家族の全員が故人の意向であると理解しやすくなります。
加えて、エンディングノートには、言葉では伝えにくい家族への感謝の気持ちを書くことも可能です。自分自身の素直な気持ちや想いを伝えるうえでも、エンディングノートは優秀なツールであると言えます。
2.万が一のときに家族の負担を軽減できる
エンディングノートを作成することで、自分自身に万が一のことがあったとき、残された家族は記載された内容にしたがって行動できます。
例えば、突然の交通事故で大ケガを負って生命の維持が難しくなったとき、延命治療の希望の有無がエンディングノートに書かれていれば、家族の精神的な負担は軽減されるかもしれません。
受けたい介護サービスや介護を受けたい場所などの希望を書いておくと、自分自身が意思疎通の困難な状態になったとき、家族が介護の計画を立てやすくなるでしょう。
また、保有している資産の金額や種類などの情報を記載することで、ご自身が亡くなった後、残された家族は遺産がどれほどあるのかを把握しやすくなります。遺産の総額が容易に把握できれば、相続の手続きがスムーズに進みやすくなります。
3.自分自身の現状を把握できる
エンディングノートには、保有している財産の金額や種類、趣味、好きな食べ物など自分自身に関するさまざまな情報を記載できます。そのため、エンディングノートを作成することで、現在の経済状況や自分自身の趣味趣向などを把握しやすくなるでしょう。
現状を把握することで、残された人生で改善が必要な点や、亡くなるまでに準備すべきことが分かりやすくなるはずです。
4.今後の人生設計ができる
エンディングノートには、自分史や考え方、信念、趣味なども記載できるため、自分自身のことやこれまでの人生を振り返る良いきっかけになります。
また、亡くなるまでにやりたいことや行きたい場所、会いたい人などを書いておくことも可能です。自分自身についての振り返りをしたうえで、残りの人生で何をしたいかを考えると、今後の人生設計がしやすくなるでしょう。
遺言書には書けないことも記載できる
亡くなった後のことを書けるものとして、エンディングノートの他にも「遺言書」があります。エンディングノートと遺言書の違いは、以下のとおりです。
エンディングノート | 遺言書 | |
---|---|---|
法的効力 | なし | あり |
形式 | なし | あり
|
記載できること | 制限なし | 主に財産の引き継ぎ方や死後のことのみ |
費用 | 数百円 | 数百〜数万円 |
遺言書とは異なり、エンディングノートには法的効力がありません。遺産相続の希望を記載することはできますが、遺言書を残していないのであれば、希望どおりにならない可能性も十分に考えられます。
遺産の相続についての希望があるのなら、エンディングノートに記載をするだけでなく、法律に沿った正しい書き方で遺言書を作成しておくことが大切です。
一方で、エンディングノートに決まった書き方はありません。遺言には書けない介護のことや葬儀のこと、ペットなどのことも自由に書くことができます。
エンディングノートの書き方

続いて、エンディングノートを書くときのポイントをみていきましょう。
書きやすい項目から書き始める
エンディングノートは最初から順番に書く必要はないため、自分自身にとって書きやすい項目から気軽な気持ちで書き始めると良いでしょう。何を書けば良いか分からないときは、市販されているエンディングノートを使用するのも方法です。
書きにくい項目や検討している項目などは、考えや情報などがまとまった後で記載をしても問題ありません。焦らず、少しずつ作成を進めていきましょう。
記載した内容は定期的に更新する
エンディングノートは、1度作成したら終わりではなく何度でも加筆と修正ができます。
情報や気持ち、考え方、伝えたいことなどに変更が生じたときは、必要に応じて情報を更新していきましょう。
エンディングノートに記載すると良い項目

では、エンディングノートにはどのようなことを書くと良いのでしょうか。エンディングノートに記載すると良い項目の例をみていきましょう。
自分自身の基本情報
エンディングノートには、氏名や生年月日、住所などの基本的な情報を書いておくと良いでしょう。
亡くなった後に、死亡届や住民票の抹消届などの手続きをする際は、故人の基本的な情報が必要です。
自分自身に関する基本的な情報を一覧にしてエンディングノートに記載することで、残された家族が手続きをする際の負担を軽減できるでしょう。
記載すると良い基本的な情報の例は、以下のとおりです。
- 氏名
- 生年月日
- 住所・本籍地
- 血液型
- 家族構成
- 学歴・職歴
- 自分史
- 身分証明書(マイナンバーカード・運転免許証など)の保管場所
- マイナンバー・運転免許証番号・健康保険証番号
- 保有資格
- 性格・信念
- 趣味・特技
- 好きな食べ物
- 普段から利用することが多いお店
- 残りの人生でやりたいこと、行きたい場所など
身の回りのこと
スマートフォンやパソコン、契約しているサービス、SNSのIDやパスワードなどを記載するのも良いでしょう。
スマートフォンやパソコンのログインパスワードが記載されていれば、自分自身に万が一のことがあった後、家族がログインをして中のデータを確認しやすくなります。
契約しているサービスやSNSのID・パスワードを記載すると、亡くなった後に家族が退会の手続きをしやすくなります。
身の回りのことについて記載すると良い項目は、以下のとおりです。
- 持っている携帯電話やパソコンの数・パスワード
- 契約しているサービスの種類やパスワード、退会手続き方法
- SNSのIDやパスワード
- ペットの性格や好き嫌い、病歴 など
医療や介護の希望
エンディングノートに、以下のような医療や介護の希望を書いておくことで、万が一のときに家族は選択や判断をしやすくなるでしょう。
- アレルギーや持病、常用薬
- 延命治療を希望するかどうか
- 希望する介護の内容や介護を受けたい場所、介護費用を支払う方法
葬儀やお墓、埋葬の希望
信仰する宗教や葬儀の方法、納骨の場所などを記載するのも有効です。
- 葬儀の方法(一般葬・家族葬・直葬など)
- お墓の種類(家墓・夫婦墓・納骨堂・樹木葬など)
- 信仰する宗教
- 喪主を任せたい人
- 葬儀に呼んで欲しい人
- 遺影に使う写真とその保管場所
所有している財産
現在所有している財産を、エンディングノートにまとめておくのもおススメです。
- 預貯金口座がある金融機関名・支店名・口座番号 など
- 生命保険の種類や保険会社、保険金の受取人、証券番号 など
- 不動産の種類や用途、住所、想定時価 など
- 金融商品の種類や証券口座がある金融機関名 など
- 自動車やバイク、宝石などその他の財産
また、借入金やクレジットカードの情報も記載しておくと良いでしょう。
- 借入金の借入先や借入額、返済方法 など
- クレジットカードの名称やカード会社、会員専用ページのアドレス など
遺言書の有無や保管場所
遺産の引き継ぎ方を指定するために遺言書を作成したのであれば、エンディングノートに保管場所を書いておきましょう。保管場所が書かれてあれば、万が一のことがあった後、家族に遺言書を見つけてもらいやすくなります。
遺言書を作成しなかった場合も「遺言書はない」と一言書いておくと、家族や親族に親切であると言えます。
親族や友人の連絡先
親族や親しい友人、知人などの住所や電話番号を記載するのも方法です。亡くなった後に連絡が必要かどうかを記載すると、残された家族は誰に訃報を伝えたら良いか分かりやすくなります。
家族や親族へのメッセージ
エンディングノートにぜひ記載しておきたいのは、家族や友人などへの感謝の言葉やメッセージです。日ごろは言いにくい感謝の気持ちも、エンディングノートであれば書きやすいかもしれません。
また、楽しかった思い出や心に残っている思い出などを書いておくのもおススメです。文章の近くに写真を貼り付けておくと、読んだ人の記憶が蘇りやすくなります。
作成したエンディングノートは厳重に保管する

エンディングノートには数多くの個人情報が記載されているため、作成後は厳重に保管することが大切です。一方で、取り出しにくい場所に保管すると、記載内容を更新しにくくなるだけでなく、家族に見つけてもらえないリスクも高まります。
そこで、エンディングノートは「盗難のリスクが低い」「いざというときに取り出しやすい」の2つの条件を満たす場所に保管しておくと良いでしょう。
保管場所の例には、本棚や食器棚、仏壇などがあります。机の引き出しにいれておくのも1つの方法ですが、預貯金の通帳や届出印などと一緒に保管すると、盗難のリスクを高める恐れがあります。
また、貸金庫にエンディングノートを保管すると、亡くなった後に家族が開けられず、発見が遅れてしまう可能性があるためあまりおススメできません。
エンディングノートの保管場所を決めた後は、万が一のときに見つけてもらいやすくするために、信頼できる家族にのみ保管場所を伝えておくのも方法です。
常陽銀行のあんしんノート

常陽銀行では、エンディングノートを作成しようと考えている人向けに「あんしんノート」というWEBサービスを提供しています。
あんしんノートは、万が一に備えて財産情報や医療・介護の希望、大切な人へのメッセージなどを登録できるサービスです。スマートフォンやパソコンがあれば、手軽に登録と管理ができます。
情報の登録時に決めたタイミングを迎えると、あらかじめ登録された家族に共有される仕組みです。共有するタイミングは「今すぐ」と「万が一の時」から選べます。
登録いただいた情報は、当行のセキュリティ基準を満たした安全な環境下で保管されます。本人やあらかじめ登録された家族以外は、当行の職員でさえも登録情報を見ることはできません。
常陽銀行のあんしんノートで、エンディングノートの作成を始めてはいかがでしょうか。
まとめ

エンディングノートに、延命治療や介護などの希望や保有する財産を書いておくと、万が一のときに、残された家族が選択や手続きをする際の負担を軽減しやすくなります。
また、エンディングノートを作成することで、自分自身の財産状況や趣味趣向などを把握しやすくなります。これまでの人生や現在の考え方などをまとめると、今後の人生設計をするときにも役立つでしょう。
エンディングノートは、多くの人にとって必要性の高いツールと言えます。終活を始めようと考えているものの、何から着手して良いか分からない方はエンディングノートを書き始めてはいかがでしょうか。
(2023年1月26日)
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以 上