NISAが元本割れしたらどうなる?影響や対策、元本割れを防ぐコツを解説

元本割れとは、運用している資金が購入金額より減少している状態のことです。NISAは預金ではなく値動きのある商品を運用する制度であり、元本割れする可能性があります。ただし、元本割れをしている状態でも、売却しなければ損失が確定するわけではありません。
この記事では、NISAで運用している資産が元本割れした際の影響や対処法、元本割れを避けるためのコツを解説します。
NISAは元本割れすることもある

NISAで運用している資産は預金とは異なり、元本割れする場合もあります。まずは、元本割れとはどういった状態なのか、また、どれくらいの確率で起こることなのかを解説します。
元本割れとは
元本割れとは、投資信託などで運用している資産の損益が、購入金額を下回っている状態を指します。相場の下落などで投資した商品・銘柄の価格が、購入時に比べて下がった際に起きます。
例えば、投資信託を50万円分購入して運用し、資産の評価金額が40万円になった場合、10万円の含み損が発生します。この状態が元本割れです。
NISAで元本割れが起きる確率
NISAで運用している資産が元本割れする確率は運用の仕方によって異なるため、一概に何%とは言い切れません。しかし、資産や地域を分散させた積立投資を長期間続けることで、元本割れのリスクを軽減できる可能性があります。
金融庁が公表するデータによれば、分散・積立投資を5年間行った場合の元本割れの確率は10%程度です。一方で、同じ投資手法を20年間行った場合の元本割れの確率はゼロでした。
ただし、このデータはあくまでも過去の実績をもとにしたシミュレーションであり、運用する商品や期間、金額などさまざまな条件によって異なります。20年間分散・積立投資を続けても、元本割れする可能性もあります。
NISAで運用する商品や期間を工夫することで、元本割れのリスクを抑えられる可能性があることを知っておきましょう。
売却しなければ損失は確定しない
元本割れの状態であっても、運用している商品・銘柄を売却しなければ損失は確定しません。元本割れは、あくまで「現時点での評価金額が当初の購入金額よりも少ない」という状態を指します。慌てて売却してしまうと、当初の購入金額よりも少ない金額が手元に戻り、その時点で損失が確定してしまうのです。
大幅な価格下落の影響を最小限にとどめるために売却するケースもありますが、損失は売却するまで確定しないため、売却のタイミングは焦らず冷静に判断するようにしましょう。
元本割れとの向き合い方
元本割れしてしまうと、「早く値上がりしないか」「いつになったら回復するのか」といったことが必要以上に気になり、冷静な判断ができない可能性があります。例えば、売却すべきでないタイミングで資産を売却してしまったり、不安で仕方なくなったりと、運用において良い状態とは言えなくなってしまいます。
元本割れは相場の影響などでも起こりやすいものです。そのため「資産運用では十分あり得ること」として、あまりネガティブに捉えすぎないようにすることが大切です。
NISAが元本割れした際の対策

NISAで運用している資産が元本割れしているときは、以下の行動をとるようにしましょう。
- 積立投資をしている場合は継続する
- 売却せずに保有し続ける
- 分散投資ができているか運用資産を見直す
まずは焦らずに落ち着いて対処するのが重要です。気持ちを切り替えて、対処に臨みましょう。
積立投資をしている場合は継続する
NISAでの運用中に元本割れが発生しても、積立投資を継続することが重要です。とくに「ドルコスト平均法」の考え方を意識すると良いでしょう。価格が下落している局面では、同じ金額でより多くの口数を購入できます。そのため、買付価格の平均値を下げる効果が期待できるのです。
相場が回復した際には、安値で購入した分が大きな利益を生む可能性があります。短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で冷静に積み立てを続けましょう。
売却せずに保有し続ける
価格が下落したからといって、慌てて売却するのは避けたいところです。売却した時点で損失が確定してしまい、その後の市場回復の恩恵を受けられなくなるためです。このような行動は「狼狽(ろうばい)売り」と呼ばれ、長期的な資産形成を妨げてしまいます。
金融市場は短期的に上下を繰り返しながらも、長期的には成長してきた歴史があります。今は元本割れの状態であっても、保有し続けることでゆくゆくは価格が上昇する可能性がありますので、焦ってすぐに売却せず冷静に判断しましょう。
分散投資ができているか運用資産を見直す
元本割れを機に、ご自身の運用している資産が適切に分散投資できているか、見直してみるのも良いでしょう。特定の国や資産に集中投資していると、その市場が下落した際に大きな影響を受けてしまいます。
株式や債券、国内や先進国、新興国など、値動きの異なる複数の資産に分散すれば、運用資産(ポートフォリオ)全体のリスクを低減できます。自分の資産配分を再確認し、必要に応じて見直しすると良いでしょう。
NISAで元本割れするリスクを低減する方法

NISAでの運用に際し、元本割れのリスクを低減する方法として以下の3つを心掛けましょう。
- 長期的に運用する
- 積立投資を活用する
- 分散投資を意識する
長期的に運用する
NISAで運用する際は、長期的な運用を前提としましょう。そうすることで、得られた利益を含めて運用できる「複利」の効果が大きくなります。
また、運用期間が長くなることで、一時的な価格変動の影響が平準化され、損益の振れ幅が小さくなり、安定した運用が期待できるようになると言われています。短期的に利益を狙うのではなく、少額でも長期的に運用を続けると良いでしょう。
積立投資を活用する
定額を一定のタイミングで積み立てることで、価格が低いときは多く、価格が高いときは少なく購入できます。結果的に買付価格の平均額が安定し、必要以上の高値で買ってしまう「高値掴み」のリスクを減らせるのです。
長期投資とこの積立投資を組み合わせることで、さらにリスクの低減が期待できるでしょう。
分散投資を意識する
元本割れは、1つの商品・銘柄の価格が極端に下がると特に起きる可能性が高くなります。そのため、複数の銘柄に分散することでリスクを低減していくのがポイントです。投資対象が1つの地域や資産に集中していると、下落時の影響も大きくなってしまいます。以下のように分散投資を意識し、値動きに備えると良いでしょう。
- 株式と債券を組み合わせる
- 先進国だけでなく新興国の資産でも運用する投資も行う
- 株式投資信託と金(ゴールド)投資信託を組み合わせる
分散投資が十分にできているか確認し、必要に応じて改善していくと良いでしょう。
元本割れ以外に知っておくべきNISAの注意点・デメリット

NISAでの運用には元本割れ以外にもいくつか注意点・デメリットがあります。これらを事前におさえておき、どういった運用をしていけば良いか考えてみましょう。NISAの注意点・デメリットは以下の3点です。
- 投資できる商品・銘柄が限られる
- 非課税で投資できる金額は限られる
- 短期投資に適していない
投資できる商品・銘柄が限られる
NISAでは投資信託やETF(上場投資信託)、国内外株式などに投資できます。しかし、投資信託の中にもNISAでの運用の対象外となる銘柄が存在します。また、取り扱う投資信託の銘柄数も金融機関によって異なるため、自分の希望する銘柄で運用できない可能性もあるでしょう。
また、銀行については、株式投資ができず、投資信託の取扱銘柄数も証券会社に比べて少ない傾向があります。一方、銘柄数が絞られている分、選択肢で迷うことが少ないため、目的にあった銘柄を見つけやすいとも言えます。
非課税で投資できる金額は限られる
NISAでは非課税で運用できるのが魅力ですが、その金額には上限があります。生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。この上限を超えた分については、課税口座(特定口座または一般口座)での運用となります。
なお、NISAで運用している商品を売却した場合、その商品の購入金額(取得価額)分の非課税枠は翌年以降に復活し、再利用が可能です。
短期投資に適していない
NISAでの運用は、基本的に売買を短期的に繰り返すような投資には向いていません。NISAは少額から長期間にわたって資産形成を行うことを目的とした制度設計になっています。また、短期で売買すると、売却した分の非課税枠が翌年まで復活しないため、非課税で運用できる恩恵を十分に受けられない可能性があるので注意しましょう。
NISAの元本割れに関するよくある質問

NISAで運用した資産の元本割れに関するよくある質問をまとめました。元本割れに不安を感じた際に参考にしてください。
NISAで元本割れしたらどうなる?
運用中に元本割れしていても、すぐに損失が確定するわけではありません。元本割れしている時に商品を売却することで、損失が確定します。
もし元本割れが不安で、売却するか運用を続けるか悩んだときには、金融機関に相談すると良いでしょう。常陽銀行では、窓口だけでなくオンラインでも相談を受け付けています。オンライン相談は平日20時までで、土曜日も相談可能です。元本割れが不安なときには相談してみるのがおススメです。
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NISAに元本割れしない商品・銘柄はある?
NISAで投資対象となっている商品・銘柄は、すべてに元本割れの可能性があります。元本が保証されている商品はありません。
NISAの元本割れは借り入れと同じ?
元本割れは、あくまで運用している商品・銘柄の評価金額が、購入時よりも下がっている状態のことであり、借り入れとは異なります。借り入れは他人からお金を借りている状態であり、返済の義務が発生します。同じマイナスの状態でも性質が異なるものです。
元本割れを防ぐ投資計画で手堅い資産運用を

NISAでの運用には元本割れのリスクがあります。しかし、「長期投資」「積立投資」「分散投資」の3つを心掛けることでリスクを低減できます。
また、万が一元本割れした際の対策や相談できる窓口を知っておくのも重要です。常陽銀行なら、銀行窓口やオンラインで運用に関する相談ができます。オンラインであれば、平日20時まで、土曜日も相談が可能です。NISA口座開設後も丁寧なサポートで運用に寄り添うため、安心して運用を続けられるでしょう。
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(2025年12月4日)
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