親のために、子のために、介護について知っておきましょう

 年齢を重ねると、体調を崩したり、日常生活に不便が生じたりするのは自然なことです。

 体調変化に早めに気付くことができれば、幸せな時間を長く持つことができ、介護が必要になった時にも慌てず準備することができます。

目次

介護に関して、お金の負担を軽減できる制度があるの?

 介護にあたって知っておきたい3つの制度があります。それは、「高額療養費」「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。

高額療養費

 「高額療養費」とは、医療費がたくさんかかった場合、一定額を超えた部分が健康保険から還付されるものです。

 例えば、70歳以上・世帯年収370万円未満の方は、外来では18,000円、入院では57,600円が1カ月の負担の上限となり、それ以上の支払いを窓口で行った場合は、超えた分の金額が還付されることになります。入院して手術を受けるのに100万円かかっても、高齢者医療の場合は保険者が計算して還付してくれ、医療費は1カ月の上限57,600円(住民税非課税世帯は8,000円〜24,600円)で済みます。ただし、食事代や差額ベット代などは別途自己負担となります。

 なお、1カ月の基準は、各月の1日〜末日までを指しています。例えば、7月15日に入院して8月14日に退院するなど、月をまたいだ場合にはそれぞれの月(7月と8月)で上限額を負担する必要がありますが、それでも負担はかなり軽減されます。

 また、高額医療費は高齢者に限らず、健康保険に加入している人なら給付を受けられます。65歳未満の人は、一般的な所得の人では1カ月あたり自己負担額の上限は80,000円+αとなります。

年収370万円以上 年収370万円未満
外来(個人) 80,100円+1%
〜252,600円+1%
18,000円
(年間上限144,000円)
限度額(世帯) 80,100円+1%
〜252,600円+1%
57,600円

 還付を受けるためには、健康保険の窓口(国民健康保険の場合は市区町村窓口)で手続きを行います。なお、入院や同一医療機関での外来の場合は、医療機関に「限度額認定証」を提出することで、請求されるのは上限までとなり、後から手続きをしたり立て替える手間がなくなるメリットがあります。限度額認定証も健康保険の窓口で発行してもらえます(75歳以上は限定額認定証は不要です)。

高額介護サービス費

 「高額介護サービス費」とは、介護保険のサービス利用料が、1カ月あたりの上限額を超えた分について払い戻される制度です。

 上限額は同じ世帯の人の収入によって異なってきます。夫婦2人暮らしで2人とも住民税非課税であれば、1カ月の上限額は24,600円となります。介護保険のサービスを受けているのが1人でも2人でも、この場合は2人(世帯)で24,600円が上限となります。夫と妻で合計30,000円のサービスを受けたとすると、5,400円が払い戻されます。1カ月の上限を超えているかどうかは市区町村が確認し、払い戻しを受けられる人にはお知らせが届きます。

 なお、2021年8月から、介護保険施設における負担限度額が変更になっていますので、詳しくはこちら(https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf)にてご確認ください。

区分 負担上限(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 44,400円
世帯内のどなたかが市区町村民税を課税されている方 44,400円
世帯の全員が市区町村税を課税されていない方 24,600円
  • 老齢福祉年金を受給している方
  • 前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間800,000円以下の方 など
24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護を受給している方 など 15,000円

 ※「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、「個人」とは、介護サービスを利用した本人の負担の上限額を指します。

高額医療・高額介護合算療養費制度

 「高額医療・高額介護合算療養制度」とは、同一世帯に介護保険を利用している人と医療保険を利用している人がいる場合、1年間に自己負担した合計額が一定額を超えると、超過分が戻ってくる制度です。なお、1年間とは毎年8月1日〜7月31日を指します。

 この制度での「同一世帯」とは、医療保険の加入制度が同じ世帯のことですので、例えば夫婦で「後期高齢者医療制度」に加入していれば夫の医療費と妻の介護保険サービス利用料を合算できます。一方、夫が「後期高齢者医療制度」、妻が「国民健康保険制度」といった場合などは合算できません。75歳以上の夫婦で住民税非課税世帯の場合、医療保険と介護保険の自己負担上限額(年間)は56万円ですので、これを超えた分が戻ってきます。

 (注意点①)

 病院や施設の食費、居住費、差額ベット代は計算に含みません。なお、医療保険・介護保険の自己負担額のいずれかが0円である場合は対象外です(両方で自己負担が発生している場合が対象です)。

 (注意点②)

 70歳未満の医療費については、医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別に21,000円以上ある場合のみ合算対象です。

 (注意点③)

 還付を受けるためには、市区町村の介護保険窓口に申請する必要があります。申請しなければ還付は受けられないので、領収書を保管するなどして、自己負担額を把握しておき、対象となる場合は漏れなくしっかり申請しましょう。

【高額医療・高額介護合算療養費制度の自己負担限度額】

75歳以上の人の世帯 70〜74歳の人の世帯 70歳未満の人の世帯
加入している保険 後期高齢者医療制度
+介護保険
健康保険または国民健康保険など+介護保険 健康保険または国民健康保険など+介護保険
現役並み所得者
(70歳以上)
上位所得者
(70歳未満)
67万円 67万円 ア 212万円
イ  141万円
ウ  67万円
一般 56万円 56万円 エ  60万円
低所得者 31万円 31万円 オ  34万円
19万円 19万円

 ※低所得者Ⅰ:特に所得が低い世帯(年金収入が80万円以下など)
低所得者Ⅱ:住民税非課税の世帯

【70歳未満の所得区分(上記ア〜オ)】

区分ア 標準報酬月額83万円以上の人
区分イ 標準報酬月額53万円〜79万円以上の人
区分ウ 標準報酬月額28万円〜50万円以上の人
区分エ 標準報酬月額26万円以下の人
区分オ 低所得者(被保険者が市区町村税)

 出所)厚生労働省の資料より作成

介護の費用は、医療費控除の対象にはならない?

 「医療費控除」は、1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合、所得税が軽減される制度です。なお、1年間は1月1日〜12月31日を指します。意外と知られていませんが、介護サービスの費用も医療費控除の対象となりますのでチェックしておきましょう。

医療費控除の対象となる介護保険サービスの対価

【施設サービス】

施設名 医療費控除の対象 医療費控除の対象外
  • 指定介護老人福祉施設
    【特別養護老人ホーム】
  • 指定地域密着型介護老人福祉施設
施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)として支払った額の1/2に相当する金額 ①日常生活費
②特別なサービス費用
  • 介護老人保健施設
施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)として支払った額 ①日常生活費
②特別なサービス費用
  • 指定介護療養型医療施設
    【療養型病床群等】
施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)として支払った額 ①日常生活費
②特別なサービス費用

 出所)医療費控除の対象となる施設サービスの対価の概要(平成28年4月1日現在法令等)(国税庁)

【居宅サービス等】

施設名
①医療費控除の対象となる居宅サービス等
  • 訪問看護
  • 介護予防訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導(医師等による管理・指導)
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション(医療機関のデイサービス)
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 短期入所療養介護(ショートステイ)
  • 介護予防短期入所療養介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限る)
  • 複合型サービス(上記居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの、生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)
②①の居宅サービス等と併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス等
  • 訪問介護【ホームヘルプサービス】(生活援助中心型を除く)
  • 夜間対応型訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 介護予防訪問入浴介護
  • 通所介護(デイサービス)
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 介護予防認知症対応型通所介護
  • 介護予防小規模多機能型居宅介護
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 介護予防短期入所生活介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合や連携型事業所に限る)
  • 複合型サービス(①の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるものに限る)
  • 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスを除く)
  • 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスを除く)
③医療費控除の対象外となる居宅サービス等
  • 訪問介護(生活援助中心型)
  • 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
  • 介護予防認知症対応型共同生活介護
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 福祉用具貸与
  • 介護予防福祉用具貸与
  • 複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護部分)
  • 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限る)
  • 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限る)
  • 地域支援事業の生活支援サービス

 出所)医療費控除の対象となる施設サービスの対価の概要(平成28年4月1日現在法令等)(国税庁)

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【監修】井戸 美枝(いど みえ)

井戸 美枝

CFP、社会保険労務士。国民年金基金連合会理事(非常勤)。
経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、数々の雑誌や新聞の連載記事の執筆をはじめ、講演、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題を紹介。
近著に『身近な人が元気なうちに話しておきたいお金のこと介護のこと』(東洋経済新報社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください』(日経BP社)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)など。

(2021年9月3日)

本コラムの内容は掲載日現在の情報です。
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以 上


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